20221204(了) |
佐藤正午/『月の満ち欠け』
2017年/小説(ミステリー系)/単行本/岩波書店/中古 |
<★★★☆> |
そこそこ長く積読していたものから。もっと古いものがいっぱいあるのに。 |
ただ、古いものは新し目のものより活字が小さくて、正直シンドくなっちまい |
ます。オフクロの緑内障は、まああの歳になればしょうがないかと思わぬでも |
ないが、仕事場の同僚(けっこう若い)がスマホを目の前10cmほどに近づけ |
て読んだり操作したりしているのを見ると、目を悪くすると、人生に大きな影 |
響が出るよって、つい言いたくなることがあります・・・ |
で、、、これは、パラパラと見ているうちに読み進めてしまいました。 |
これは年1回出る雑誌「このミステリーがすごい!」(2018年版)の紹介文で |
す。さがして見つけました。雑誌は2017年末に買ったはずです。 |
国内の18位。紹介文が書かれるぎりぎりの順位。謎解きとしてはどうなんだ |
ろうというお話なものだから、低かったのかもしれないですね。 |
本は「このミス」に載ったから選んだわけじゃない、活字の大きさでもない、 ただの気まぐれだったはず。 |
この紹介文には実はちょっと違っているところがあるものの、まあ大雑把には |
こんなところでしょうか。厳密にどうこうという必要なんぞないけれど、所謂 |
ミステリーとは違う。一見ホラーまがいで、捻ってある。ちょっと前に観た佐 |
藤正午原作の映画化作『鳩の撃退法』も、これは映画しか知らんが、そういや、 |
とてもテクニカルなもののようでした。 |
補足するなら、、、 |
二番目の瑠璃、小山内の娘の友人の娘、が長じて女優緑坂ゆいになるが、その娘 |
が瑠璃で、順番的には三番目の小沼瑠璃(希美)の次。 |
しかし母親の緑坂ゆいは、妊婦時の予告夢から、生まれ変わりのことを妄想して |
いて、小山内に説明を試みている。前世の記憶。 |
小山内は、聴く耳は持つが(わかっている気がしながら)同意をためらっている。 |
前世の記憶を確かめる材料になるかもしれない話が出てくる・・・ |
たとえば、【瑠璃も玻璃(ハリ)も照てらせば光る】なんていう諺の類。 |
「瑠璃」は青い宝玉又は色付きのガラス、「玻璃」は無色の水晶又はガラス。 |
いずれも貴重な宝玉。(そのような宝玉は光が当たれば光り輝き目立つよう |
に) 才能のある者はどこにいても目立つ、また、機会さえ与えれば活躍する |
ということ・・・ |
これがちょくちょく出てくるんで、ワタシにゃそれが、ストーリーともっと絡む |
んじゃないかと思っていたのだけれど、それを知っていることが、ある種の証と |
して使い得るというぐらいの扱いでした。 |
紹介文には三番目の瑠璃まで記述しているが、だから4番目の瑠璃もいる。 |
4番目の瑠璃はエッと驚く発言もします・・・ |
ただその発言内容についちゃあ、回収はされない。 |
ともあれ実に、引っ張りじょうずな(リーダビリティというんでしょうか)作家 |
さん。でもね、上掲雑誌紹介文に、けっこう語られちゃってますからね、ストー |
リーにかかわる話はもうやめておきます。 |
この作品も映画化されて、今頃は封切られている。 |
新聞にCMが打たれてました。よく見かける役者がぞろぞろ。ストーリー内では |
何人もの7歳ぐらいの女の子が出てくるんだが、その配役は載っていないよう |
です。本ではみんななかなか印象的なんですが、出て来るんだろうが、あまり |
演技者としてじゃないんだろうか。いや、そんなはずはないだろう・・・ |
最後に、、、これ書いちゃあいけないかもしれませんが、、、ホラーめいて始 |
まったこのお話は、極めて謎めき、変則ながら純愛ものとして締めくくられま |
した。男性軍はちょっとキャラクター的には弱いでしょうか。まあしょうがな |
い気もします。小説『鳩の撃退法』とも、どこか通底する雰囲気があるのかな。 |
そんな感じがあるかもしれないと思いました。 |
独特のファンタジックな小説感。面白かった。
ストーリーのメモはうっちゃらかしたのですが、どうもうまくまとめられませ んでした。
このアップが今年の最後になりそうです。 |