休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ズート・アット・イーズ/ズート・シムズ・クァルテット

20221101(了)

ZOOT AT EASE/ZOOT SIMS QUARTET

 ①朝日のようにさわやかに(Hammerstein/Romberg)
 ②イン・ザ・ミドル・オブ・ア・キス(Coslow)(テイク4)
 ③アラバミー・ホーム(Ringle/Ellington)(テイク9)
 ④ドゥ・ナッシング・ティル・ユー・ヒア・フロム・ミー(Russell/Ellington)
 ⑤ローズマリーズ・ベイビー(Stokes/Keith)(コメダ)
 ⑥カクテルズ・フォー・トゥー(A・Johnson)
 ⑦マイ・ファニー・ヴァレンタイン(R・Rodgers)
 ⑧ビーチ・イン・ザ・A.M..(H・Jones)
 ⑨イン・ザ・ミドル・オブ・ア・キス(Coslow)(テイク1)*
 ⑩イン・ザ・ミドル・オブ・ア・キス(Coslow)(テイク2)*
 ⑪アラバミー・ホーム(Ringle/Ellington)(テイク2)*
 ⑫ビーチ・イン・ザ・A.M.(H・Jones)(テイク3)*
 ⑬アラバミー・ホーム(Ringle/Ellington)(テイク8)*
 

  ハンク・ジョーンズ(p)、ミルト・ヒントン(b)  

  ルイ・ベルソン(ds)①③⑤⑦⑪⑬

  グラディ・テイト(ds)②④⑥⑧⑨⑩⑫

  録音:1973年5月&8月、ニューヨーク
  CD/ジャズ/Ⓟ&ⓒ 2016 GHB Jazz Foundation/Progessive/ソリッド・レコード
  /輸入盤仕様/邦盤/中古
  <★★★☆>

このジャケット写真、なんかいいなぁ。
 
何故かほとんど聴く機会がなかったズート・シムズです。広くいろいろ聴いた
なんてとても言えないモダンジャズ。こういうビッグなアーティストも知らな
いなんてことがままあります。そういった一人。
 
曲自体は、聴いたことがあるものがほとんどで、スタンダードナンバーなんで
しょう。
ただし一曲だけだけは、スタンダードナンバーとは言えないと思うのがありま
して、それは⑤。映画『ローズマリーの赤ちゃん』のテーマ曲
1968年の映画で、地方都市ではありましたが、学生時代にロードショーと
して観たはずです。アイラ・レヴィンの本のほうは中古屋で買って読んだな、
たしか。きっと黙っておけなくて、友人たちとも話題にしたことだろう。
その頃はまだ映画音楽作曲家の知識は乏しく、コメダという作曲家名には興味
を持ちませんでした。今から思えば、監督がポーランド出身の気鋭ロマン・ポ
ランスキーで、作曲者のファーストネームが「クシシュトフ」ってんだから、
ポランスキーが同郷ポーランドの作曲家を使ったのは明らか。
このテーマ曲はその後ラジオで何度も聴いたに違いなく、メロディを覚えてい
ましたね。で、このアルバムで流れてきて、思わずCDケースをひっくり返すこ
とになった。「あれま、やっぱりか・・・」
当時は映画がヒットしたついでに音楽もしばしば取りあげられたんやろう。
 
 
派手ではないけれど、非常に伸びやかな音楽が信条で、なんというか職人芸的
なサックス奏者なのですな。中のライナーが日本語だから、ざっと読んだとこ
ろ、ソプラノよりテナーのほうがいいとおっしゃってる。ワタシはどっちもよ
かったと思う。
今から見ると、どんどん先の音楽へ進んでいった奏者たちの中では、ちょっと
古臭めの上手いサックス奏者だろうが、当時としてはうんと普通の優れたジャ
ズメンだったに違いない。
2回のセッションから集めながら、同じ曲の別テイクをいくつも入れている。
スートの意思ではなく、CD化する時、レコード会社が⑨-⑬を付け加えたんだ
ろう。全く違和感もしつこさも感じなかった。
シムズはサックス仲間と何度もグループを作って、サックスのバトル、なんて
のもよくやったみたい。でもここではワンホーン。アップテンポも少なく、歌
心があってどっしり落ち着いたアルバムに仕上がっていると思います。
 
そしてそして、彼を支えているのが、古さも近い(?)ハンク・ジョーンズ
(p)率いる、いわゆる“ザ・リズムセクション”として名をはせたユニットの片
割れ。ザ・リズムセクションはワタシ、とても好きでした。ワタシの知ってい
るアルバムではドラムスはオシー・ジョンソン、バリー・ガルブレイスのギタ
ー。ということで、ミルト・ヒントンの名も、ちょっとおっとりした感じの
オッサンぽいベースも懐かしい。

  これです。ザ・リズムセクションのLP、EPICレーベル(ソニー)のもの。

  いいでしょ、これ。

  たくさん出た1100円のシリーズ中の一つ。のんびりしたジャズですが、
  けっこう気に入りまして、わずかに残したLPの1枚(モノーラル)です。
  このユニットのリーダーは、当初はこのミルト・ヒントンだったかもしれ

  ないですね、ハンク・ジョーンズじゃなく、ヒントンの名が始めに載って

  いるので。