休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

《現代日本の作曲家》 間宮芳生作品集

20221022(了)
現代日本の作曲家》

間宮芳生作品集

(1)歌曲集「郵便切手」(1992) 12:39
   (ヨアヒム・リンゲルナッツ詩/板倉鞆音訳)
   ①公園にて 3:18
   ②郵便切手 4:07
   ③新しき遠景 3:08
   ④真田虫 2:04
     竹沢嘉明(vo.)、水野佐知香(vn.)、吉沢実(クラムホルン、リコーダー)
     つのだたかし(リュート、ūd)
     録音:1993年11月 神奈川県立音楽堂(ライブ)

(2)弦楽四重奏曲 第2番「いのちみな調和の海より」

     (1980) 19:28

   ⑤Andante 7:24  ⑥Presto 4:25  ⑦Adagio Lamentazione 7:30
     安田明子(vn)、桐山建志(vn)、白尾偕子(vla)、安田謙一郎(vcl)
     録音:1993年11月 神奈川県立音楽堂(ライブ)

(3)尺八とチェロのための「KIO」(1988) 

   ⑧14:24

     阪田誠山(尺八)、エルッキ・ラウティオ(vcl
     録音;1993年5月 浜離宮朝日ホール(ライブ)

(4)合唱のためのコンポジション第5番「鳥獣戯画

     (1966) 17:36

     混声合唱コントラバス(2)、打楽器(2人)のための
   ⑨アンダンテ 4:55   ⑩アレグレット 4:53   ⑪アレグロ 2:19   ⑫アレグロ 5:18
     東京混声合唱団、間宮芳生(指揮)、小島光(perc)、加藤訓子perc)、
     吉田秀(b)
     録音;1995年10月、静岡音楽館AOI(ライブ)
 
     CD/現代音楽/フォンテック/邦盤/中古
     <★★★>

ライナーの解説は、作曲者自身のもの。
読んでもよくわかりませんでした。
作曲家の紹介的なもの、ショーケースのようなシリーズなんでしょう。
もっといろいろなジャンルに興味を示し、実際に色々な作品を残されたかた
なので、このアルバムくらいじゃいくらも表出されているわけではないので
しょうから、その意味ではちょっとは不満を覚えたものの、このなかでどの
タイプの作品がワタシに楽しめる楽しめないという傾向が少し分かったとい
うのが収穫・・・

 

(1)歌曲集「郵便切手」 

① 小さな小さな鹿が・・・

ヴァイオリン一台のつぶやくような伴奏で、公園の鹿を描写。石膏だったっ
ていう。
② ・・・恋が芽生えたが、用事(旅)があったんで、キスは返せなかった
・・・ 男声の裏声やクラムホルンが使われる。
③ 成層圏の入り口の左側に廊下があって・・・暗闇ばかり・・・
歌以外はリュート(あるいはウード)とヴァイオリン。
④ サナダ虫の状態が非常に悪かった・・・おしりが痒かった・・・
うーん、サナダ虫なぁ。クラムホルン、ヴァイオリンなど。
 調性のない音楽が、滑稽というしかない詩に貢献しているらしいが、ワタ
シにゃ何が面白いのかさっぱりわからない。詩がどちらかというと苦手なワ
タシだから余計にそうなのかもしれない。感興らしいものとは全く無縁でし

た。これ、予備知識なくていいのかねぇ。何べん聴いてもアキマセンでした。

 

(2)弦楽四重奏曲 第2番

上の歌よりはなんぼか面白く聴けました。残響がえらく短いので、ギスギス

感はありましたが、これぐらいなら、聞き慣れているというか、抵抗感はな
かった。ただし、サブタイトルの意味はわからない。⑤はポリネシアのパン
パイプの音楽に、⑥のピツィカートの楽章はザイールのシロフォンの音楽に、
⑦はフィンランドの「泣きうた」に、それぞれ紐づいているという。元々は
どなたかの思い出に捧げた「悲歌」なんだそうな。わかっても、だからどう

なの?という感じ。(1)と(2)は同じライブでの録音のよう。

 

(3)尺八とチェロのための「KIO」

KIOというのは敬愛する詩人の名だそうな。

この曲が一番面白かったですね。「自己凝縮」がどうのと言っているのは、
まるでわからんが、チェロと尺八がある一定の方向を向きつつ、インプロ
ヴィゼーションをやったら、こんなに合うというか、響き合うというか、
意外な発見でした。つまりは相性。インプロヴィゼーションじゃなく、ち
ゃんと根っこが民謡みたいな音楽の楽譜がちゃんとあるんでしょうけどね。
チェロのほうは、和風じゃなくむしろ洋風というたたずまいなのに。

この録音はよかった。

 

(4)合唱のためのコンポジション第5番

                 「鳥獣戯画

ワタシが間宮を知るきっかけになったのは、合唱のためのコンポジション

一曲で子供の領分というもの。子供の合唱とオーケストラで、万人向き。
わらべ歌がぎっしりと詰めこまれていて、オケ伴の音質がちょっと寂しいが、
聴きやすく非常に楽しかった。LPも当時人気があったはずです。
ところが、作曲者ご本人は西洋音楽からのいただきが多いとかなんとか、気
に食わない作品だと言ってらした。ドッチラケでした。(もう昔のことです) 
でもワタシ、この曲、今でも大好きです。
さてこちらは、基本的なエレメントとしては民族音楽と仏教音楽からの引用
ですって。
⑨では、引用の一つ「東大寺二月堂のお水取りの法要のうた」があって、お
水取りは何度か行ってますから、ああこんな感じだったっけ、なんて。
⑩ではジャズのベースとドラムスの掛け合いみたいな音が出てきて、思わず
耳をそばだててしまったが、歌は民族音楽というより日本の民謡系。
⑪子供の合唱風だけど大人の女声。それにわざとらしい古風な笑いが挟まれ、
あの戯画の感じ(笑い転げるカエルやウサギ?)を出しているよう。
⑫ジャズのベースやドラムが聞こえたりもするが、ここは「お祭り騒ぎ」ふ
うな表現で締めます。
音質は良好でした。

 

ここではワタシは(3)とかろうじて(4)ですかね。
(4)はあのわざとらしい笑い声が引っかかってしまった。
(2)のクァルテットは、音があんなにデッドでなければ、印象はきっとだ
いぶんよくなるとは思います。

 

9月の鑑賞予定分、やっと終わりました。

 
発売年は不明。
古風なことに、ジャスラックのシールが貼ってある。フォンテックだから
「そう」なんだ、というわけでもなさそう。
たくさん書かれ、たくさんの評価も受けられた方だけれど、ワタシはよく

わからない。好きと言えるのは、今のところ合唱のためのコンポジション

子供の領分』だけ。寂しい話です。