休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

パヌフニクとセッションズの管弦楽曲

パヌフニク/セッションズ

(1)パヌフニク;平和の交響曲交響曲 第8番)
   ANDRZEJ PANUFNIK(1914-1991):Sinfonia Votiva(Symphony №8)
   ①Andante rubato,con devozione              13:57
   ②Allegro assai,con passione                  8:05
(2)セッションズ;管弦楽のための協奏曲〈1981〉
   ROGER SESSIONS(1896-1985):Concerto for Orchestra
   ③Allegro―Largo―Allegro maestoso            16:04
 
   小澤征爾指揮/ボストン交響楽団
   録音:1981年1月、マサチューセッツ、ボストン、シンフォニー・ホール          Tot.38:06
   CD/1993/現代音楽/管弦楽/HYPERION 英/輸入/中古
   <★★★>

8月末にメモし終えていたものです。
 
両曲ともに、100周年を迎えるボストン交響楽団のために書かれたそうな。
パヌフニクを聞くのは久しぶり。この前聴いたのは室内楽だったはず。ポー
ランド出身の方で、英国での活躍が長かった。指揮者としてのほうが有名か
も。ここで演奏している小沢/ボストン響が世界初演をやったんだって。
ハイペリオンという録音が優れていることで知られた英国のレーベルから出
ているのが意外。
セッションズは米国の作曲家、批評家。名前は一応知っていましたが、聴く
のは初めてです。
両曲とも、曲に関する説明は一切読んでも聞いてもいません。ま、基本的に
は、これでいいのでしょうけどね。
 
①日本の横笛という感じの始まり。ハープとヴィオラ、あるいはチェロ、そ
れにチェレスタ(か鉄琴)といった加わり方で、徐々に徐々に編成が増えて
くる。ひっそりした感じから、実にゆっくりと音が重なって来る。
音は暗くはない、涼やかなんだけれど、緊張の糸がピーンと張っている。
②平和の交響曲というタイトルのわりに、まるで戦争の音。ドカンドカンと
いうのではないんだけれどネ。社会的なものとか(たとえば民衆の蜂起だと
かのサウンドのイメージ)だろうか。なにせ、ティンパニや太鼓の音がほと
んど聞こえない。シンバルやドラのようなものなら聞こえた。
冗談めかして言うなら、ティンパニうや太鼓の音のかわりに、40年以上も
前の小澤征爾の「ウッウッ・・・」という唸り声がかなりリアルに聞こえた
けどね。
そして、平和なんぞ想像出来ない、いわば社会的な盛り上がりみたいなサウ
ンドのまま、終ってしまった。表記の passione がありていに情熱
的といった意味なら、その感じはなかったな。次と同じく1981年頃の作品で
しょう。やや小編成の曲のようでした。意味など考えなければ、そこそこ楽
しめました。
 
管弦楽のための協奏曲、つまり「オケコン」。オケコンといったらバルトー
クというぐらいとんでもない有名曲(名曲でもある)があるので、まあどう
しても較べちまうけどね。オケの各セクションの高度な能力を発揮できるよ
うに書かれた作品なわけで、オケが上手けりゃ上手いほどええ。オケの100
周年なんてものにはまさにピッタリ。
バルトークの人気取り(とお金)のためにしょうがなく書いた、などと言わ
れてしまう派手な音楽に比べると、調性は感じられず、編成は大きいような
んだが、ちょっと陰気臭く地味に感じるオーケストラ曲。若者には結構かっ

こよく思えるかもしれない。そう尖った感じには聞こえないから、物足りな

いかなぁ。

そうそう、バルトークの「オケコン」は1943年の作品で、なんとなんとこの
ボストン響のために書かれたんだって。だからこその曲の発想や命名だった
わけなんでしょう。