イギリス本は面白い
20220613(了) |
「ボクはイエローでホワイトで、ちょっと
ブルー」/ブレイディみかこ」
はじめに |
1 元底辺中学校への道 |
2 「glee/グリー」みたいな新学期 |
3 バッドでラップなクリスマス |
4 スクール・ポリティクス |
5 誰かの靴を履いてみること |
6 プールサイドのあちら側とこちら側 |
7 ユニフォーム・ブギ |
8 クールなのかジャパン |
9 地雷だらけの多様性ワールド |
10 母ちゃんの国にて |
11 未来は君らの手の中 |
12 フォスター・チルドレンズ・ストーリー |
13 いじめと皆勤賞のはざま |
14 アイデンティティ熱のゆくえ |
15 存在の耐えられない格差 |
16 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとグリーン |
2019年/単行本/新潮社/エッセイ/中古 |
<★★★★△> |
もとは保育士で、イギリス在住の方の大ベストセラー。 |
これ、ネットで見たら大うけしているのがよくわかった。著名人の好意的な言 葉による惹句もあった。 |
ところが、レビューのはじめのほうにあったのは、(これなら自分でも書ける |
わ、ふうな)えらそうに、かなりけちょんけちょんに貶した文章が並んでいて、 |
鼻じらみました。 |
なに、とてもいい本だと思います。例えば・・・生活者として。 |
中学校だけじゃなく高校ぐらいまでだっていい、教科書というのは無理でも、 |
社会勉強の補助的な教材にして、手本としてではなく話し合いのネタにしてみ |
てほしいもんだ。 |
ヨーロッパ全部とはいかないまでも、少なくとも、良くも悪くも英国の学校や |
教育に関する考え方が伝わってくるし、国民性もある程度は感じられる。 |
神学校的な小学校から、公立の「元底辺中学校」に進む経緯や結果もものすご |
く興味深かったですね。そして息子さんの素直な反応がいい。 |
綺麗にまとめられすぎているという言い方はできるでしょうが、十分にリアル |
だと思います。 |
この一家の生活水準には事件があった。はじめのほうでわかって、「元底辺中 |
学校」というのがある程度必然的に「なった」のですね。 |
この本がベストセラーになってからは、かなり変ったでしょうけど・・・ |
もう15年以上も前にロンドン在住の高尾慶子さんのイギリス本(エッセイで |
す)をたて続けに読んだことがあました。ハウスキーパーとして見るイギリス、 |
という視点が(はじめの3冊ぐらいは、ですが)ものすごく面白かった。目の |
高さ、つまり視点の低さ、かな。この方も勿論物書きが本職というわけじゃな かったですね。 |
リドリー・スコット監督宅に10年以上も務めた方。監督関係の話はよく覚え |
ていませんが、ブレイディさんとはまったく違った生活臭がする視点なのです。 |
確か独り身で子供はおられなかった。 |
ハウスキーパー、庶民レベル、といっても、日本のお手伝いさんのイメージと |
はかなり違うようだし、『日の名残り』のような執事的な立場とも違うが、そ |
こに出てくる女性とは共通するものがあるかな、、、地位は低くても毅然とし |
て気位を保っておれる仕事のようでした。 |
そんな中で、日本人の感性にさほど拘泥しないで見るイギリスは、そこでしか |
わからない感覚、感触が語られているようで、興味津々でした。外国人や年金 |
のことも面白かったなぁ。 |
確か、20年間、国民年金のようなものを払い続けた後、しかるべき年齢に達し |
たら(?)、立派な年金がいただけるようになったとかで、「やったわよ!」 って感じで喜んでたっけ。 |
英国に学べ!的な学者マークス寿子さん(のイギリス本)のほうがはるかに |
話題になったようですが、上から目線ふう。ワタシにはですが、さほど興味 |
深くは感じませんでしたっけ。 |
・・・なんてことを思い出しました。 |
最後には鋭い感性の息子君は、ブルーではなくグリーンになるのです・・・ |
というあたりは、ここでネタ晴らしはいたしません。 |
これ、続編もあるんですね。そりゃあまだご子息は中学生やもんね。 |
自分で考えるチビの中学生! いやあ、しっかりしてる。背ぇ、伸びたかな。 |
最近、お母さんは、なんと小説を出してましたね。 |
新聞によく載るようになったので、いろいろ切り抜きもしていました。再読し |
た後それをみな本に挟んで棚へ。よっしゃ、片付いたぞ・・・ |
(切り取ってそれなりにフーンと思えたものは、捨てるのが惜しくなる。なん |
でやろねぇ。意味などロクにないのに。で、いいタイミングで関連する本など |
があった時や思いついた時は、それらを挟んで、ハイ、おしまいー! スッキ |
リするのです) |