休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

バルトーク;「オケコン」&「弦チェレ」

20211009(了)

バルトーク(1881-1945)

   /「オケコン」&「弦チェレ」

 
(1)管弦楽のための協奏曲 Sz.116
  ①9:56 ②5:58 ③7:55 ④4:13 ⑤8:58
(2)弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 Sz.106
  ⑥7:03 ⑦7:00 ⑧7:00 ⑨6:42
(3)5つのハンガリー・スケッチ 作品38
  ⑩村での夕べ 2:42 ⑪熊の踊り 1:38 ⑫メロディ 2:00
  ⑬ほろ酔い加減 2:15 ⑭豚飼いの踊り 1:58
 
  フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団
  録音(1)1955年10月、(2)(3)1958年12月、シカゴ・オーケストラ・ホール/76:25
  1994年/CD/管弦楽/BMGビクター/邦盤/中古
  <★★★★>

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 バルトークの超人気曲二つが入っている。LP時代には1枚には入りきらず、
別々の盤が必要だった。これは、そりゃ勿論聴きますが、既にさんざん聴い
た録音で、CDは持っていなかっただけなので、聴くというより記念、かな。
LP時代には決定盤ふうな扱いで、ワタシもこの「弦チェレ」には特にイカ
ました。高校の終り頃から大学生のはじめごろまでですから、一体何年前だ!
 他に輸入盤が2種、出品されていて、リマスターのレベルがもっと上だった
かもしれないけれど、なにせこの日本盤、ほぼ送料だけなのに、状態が非常
に良いと書かれていたので・・・ ま、どうでもいいことです。
 
 先日、たまたまテレビでパーヴォ・ヤルヴィ指揮のNHK交響楽団管弦楽
のための協奏曲(「オケコン」)がテレビで放映され、その際ヤルヴィさん
のインタヴューが事前に流れました。オケコンは、バルトークの晩年にも近
く、体調への不安や自身の置かれた事情に対する気持ちなどが濃くにじみ出
ているんだと、おっしゃっていた。ワタシも賛成。
 バルトークの伝記等からの知識では、オケコンや弦チェレは、自分本位の、
聴衆を無視したような作品ばかり書いていてはだめで、大衆におもねるとい
うのじゃなくても、もっと聴衆受けする、楽しめるものも書かないと、自分
自身の貧窮を救えない、体も直せない、などと言われた結果、仕上げた作品
なんだ、、、というふうに知識としては持っていました。そうなのかなぁと、
実は釈然としなかったんですけどね、長い間。
 それを、上記のヤルヴィさんの一言でスカッとひっくり返せたといわけじ
ゃないとはいえ、やっと胸のつっかえが少しだけ解消できた気がしたのです。
特に追いかけていた問題というわけでもないので、自分のせいでもあるので
すけどね。なんだ!ちゃんと同じような考えの人もいるんじゃん・・・ 
 なんてね、エラそうに。

 ハハハ。音楽談議ができる人が今はもう周りにいないのです、それでこん

なブログを書き始めたという側面もあります、残念なんですが。

 暗い情念は、オケコンなら③、弦チェレなら⑧、ということになります。
人気取りや迎合でこんなものが書けるもんだろうか!
 この件は、その辺でやめておきましょう。
 
 もうひとつの記憶は、この演奏による「弦チェレ」のLPのこと。随分前に
一度か二度書いたことがあります。
 ワタシは実家にはこの「弦チェレ」のLPを持っていたくせに、下宿生活の

大学生時代に、レコード屋でなんとこのLPを盗んでしまったことがあるので

す。

 この曲を聴かせてあげたいうと思っている友人本人と二人してレコード店
に行き、陳列台に目指すモノを見つけた時点で、計画がふって湧きましてね、
店員の動きなどを注意深く分担チェックしながら店を抜けだした。 レコード
屋を出てからのことは覚えてません・・・
 貧乏学生だからではありますが、よくもまあこんなアホなことをやってし
まったもんです。その友人が博打好きだった影響もゼロではないかもしれま
せんが、もちろんこれは二人の犯罪。その後友人はその曲を気に入ったよう
でしたが、卒業後は友人がそのLPをどうしたのかは訊いたことがありません。
 友人は地元の農協に勤め、ワタシも一旦は地元に戻り、皮肉もいいことに
レコードを扱う仕事に就いた。転勤族でした。
 でも、もっと皮肉だったのは、友人のほうで、卒業の5-6年後のことだっ
たと思います。博打、多分危ない人たちとの賭けマージャン、のせいで(家
族を助けるためということらしいのだが)自殺をしてしまった。
 情報が遅れ、彼が死んで半年以上もたってからだったろうか、学生時代に
親しかった友人たち5人ほどで、実家へお線香をあげに行ったのでした。
 彼の死以降、ワタシにとって「弦チェレ」は必ずそういったことに繋がら

ざるを得ない音楽になっちゃった。

 そしてこれはまさにその演奏が収められたCDなのです。

 
 まあそんなことで、もう十分長たらしいので、ここの収録されている曲個
個については、ダラダラ書くことはやめておきます。あまりにも馴染みの、
かつ大好きな曲たちです。ただ、かっこだけ付けときます・・・
 
(1)「オケコン」はさすがに録音が古いので、繊細さや重低音といったオ
ーディオ系の楽しみには十分には応えられないが、オケのマスの威力やライ
ナーの厳しい音楽ということでは十二分にまだ魅力を放ってくれている。
 
(2)「弦チェレ」のほうが音はマシかもしれんが、大した違いはない。正
直言って、CD化によって音が少し瘦せ、凄味は減っちゃったかなぁ。
それでも、やはりというべきか、この演奏の凝集力は半端じゃない。ハンガ
リー人の「血」の具現云々なんて言われるけれど、そんなレベルを超えてし
まっている。
 また、むしろ今の録音技術じゃ、こんなすごい音楽に録れてしまうなんて
ことは、逆に、ないんじゃないかと思えた。
 
(3)「5つのハンガリースケッチ」は本当に久々に聴きました。オーケストレ
ーションの練習みたいな作品で、凄味はないけれど、民族的な感性ふうなも
のがストレートに出てます。LPにも入っていたのに、もはや完全に忘れ去っ
ていました。⑩や⑫のノスタルジーも素敵だが、⑬の滑稽感や⑭の踊りなん
かのほうが、この先の成熟への繋がりを感じさせる

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もう、当分聴かへんやろな。