休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『プラットフォーム』

20210915(了)

映画『プラットフォーム』

 ガルダー・ガステル=ウルティア監督//イバン・マサゲ/ソリオン・エギレオル
 2019年製作/94分/R15+/スペイン/原題:El Hoyo/DVDレンタル
 <★★★>

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またまた奇妙奇天烈なものを観ました。「プラットフォーム」は邦題らしい。
 
<映画.com>解説から; 
スペインの新鋭・・・が、極限状態に置かれた者たちの行動を通して様々な社
会問題をあぶり出した異色スリラー。
ゴレンは目が覚めると「48階層」にいた。そこは遥か下まで伸びる塔のような
建物で、上下の階層は部屋の中央にある穴でつながっており、上の階層から
「プラットフォーム」と呼ばれる巨大な台座に乗せられて食事が運ばれてくる。
食事は上にいる人々の残飯だが、ここにはそれしか食べ物はない。各階層には
2人の人間がおり、ゴレンは同じ階層にいた老人トリマカシから、1カ月ごとに
階層が入れ替わること、そして食事を摂れるのはプラットフォームが自分の階
層にある間だけ、というルールを聞かされる。1カ月後、ゴレンが目を覚ます
と、そこは以前より遥か下の「171階層」で、しかも彼はベッドに縛り付けら
れ身動きが取れなくなっていた・・・
 

 

ウーン、上記解説のおしまいのところは、かなり飛んでしまっていますね、そ

の辺は、もうちょっと先のシーン。
一部屋は穴以外に出入口はなく、40㎡ぐらいか。 部屋の真ん中の穴 (つま
りプラットフォームの広さと同じ) は1.5m×3.0mぐらいかな。これが一日一
回、上から下へ階ごとに何分づつか停まる。階層は果てしなくあるみたいなが
ら、はじめの想像では200ぐらい。
天井(=床)の厚みは70-80cmぐらいか。穴から覗くと、すぐ下の階は大
半が見える。その下はたいして見えない。上の階は覗かれれば人は見えるもの
の、そうでなきゃ天井の連なりが見えるばかり。
 
はじめに大きな厨房が映って、どうやらこのプラットフォームに乗せられる食
事はここで賄われるらしい。厨房の雰囲気が奇妙で不気味なんだが、結局なぜ
かよくわからない。そもそもこの施設が何なのかもわからない。監獄ふうなも
のか、精神修養のためのものか、ある種の精神病患者のためのものか。
 
 
ここへ来る男ゴランは、この施設に入るためになんだか面接のようなものを受
けているシーンが描かれていた。どうやら普通は自ら進んで入るところではな
さそう。なにか好きなものを一つ持ち込める。彼は本(セルバンテスの『ドン
・キホーテ』)を持ち込む。本を持ち込むのは極めてめずらしいとのこと。
同部屋の人間は実に雄弁なジジイで、この人が選んだのはいくら切っても、な
まくらにならない包丁。銃は許されないんじゃないかと思われるが、不明。そ
れにしても包丁とはなんと先見の明があることか!
 
精神修養かもなんて書いたんだが、実際は監獄のほうが近い感じかな。
プラットフォームに乗る食事の量は上に書いた広さぐらいだから、たかがしれ
ている。150階だとか200階だとかあれば、いくら限られた時間とはいえ
(ほかにもルールがいろいろとある、例えば溜め置けない、とか)、2人づつ
が食っていけば、下へ行くにつれてたちまち少なくなり、どう見ても賄いきれ
るわけがない。食うや食わずの度合いが、ひどいどころではなくなる。腹立ち
まぎれの糞尿や唾等が混ざることになる。食べるものがなくなれば、何が起き
るか・・・
まあ、そりゃ入ってしまえば考えりゃわかるわけですが、入る前、入れられる
前には、ぜんぜんわかっていない。
 
なんだこりゃ!というわけです。まぁとんでもないシチュエーションSF。
変なシチュエーションの映画、これまでにもいろいろありましたが、食うこと
に特化した、これもなかなかのものだと思いました。SF的なのはシチュエーシ
ョンのみならず、50cmほども厚みのあるプラットフォームがどういう動力
や仕組みで上から下へ移動するのかわからないし、いつの間に上に戻っている
のかも(そもそも戻っているかどうかも)わからない。
そういや、月一で階が変わるときは眠っている間らしいが、それだって一体ど
うやって? 
 
えー、十分書いてしまいました。(書きすぎました)
形而上学云々なんて言いたがる向きもあるでしょうが、、、ワタシが人に説明
しなきゃならないとしたら、《ホラーっぽく描く社会学講義》、でしょうか。
よう映画にするわ、こんな話。平山夢明の小説でなきゃ漫画かな・・・
社会学講義などと書きつつ、意味を考えても詮ないようですが、でもまあ、観
てしまえば誰でも何かしら言いたくなってしまう、黙っておくことができない
映画だとは思いました。