’管弦楽の楽しみ’の延長線上にあります
20210830(了) |
“クラシック・フィルム・スコア”シリーズ "CLASSIC FILM SCORES" SERIES |
シー・ホーク:
エーリッヒ・ヴォルフガンク・コルンゴルト作品集
THE SEA HAWK::THE CLASSIC FILM SCORES OF ERICH WOLFGANG KORNGOLD |
① The Sea Hawk: Main Title; Reunion; Finale シー・ホーク 6:53 1940 |
②Of Human Bondage: Nora's Theme (未公開)人間の絆 4:21 1945 |
③The Adventures of Robin Hood: March of the Merry Men; Battle |
ロビンフッドの冒険 4:01 1938 |
④Juarez: Love Theme (未公開)革命児ファレス 1:51 1939 |
⑤Kings Row: Main Title 嵐の青春 1:43 1941 |
⑥ The Constant Nymph: Tomorrow 永遠の処女 6:07 1943 |
⑦ Captain Blood: Overture 海賊ブラッド 2:58 1935 |
⑧Anthony Adverse: No Father, No Mother, No Name 風雲児アドヴァース 2:39 1936 |
⑨Between Two Worlds: Main Title; Mother and Son(未公開)霧の中の戦慄 5:30 1944 |
⑩Deception: Main Title 愛憎の曲 1:33 1946 |
⑪Devotion: The Death of Emily Bronte まごころ 4:05 1946 |
⑫Escape Me Never: Main Title; Venice, March; Love Scene; Finale |
(未公開)嘆きのプレリュード 8:14 1935 |
Composed by Erich Wolfgang Korngold(1897-1957) |
チャールズ・ゲルハルト指揮ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団 |
ⓒ 2010 Sony Musuc Entertainment/RCA Ⓟ 1972 RCA//映画音楽/中古CD |
<★★★☆> |
1970年代にチャールズ・ゲルハルトがロンドンのナショナル・フィルハーモニ |
ー管弦楽団を指揮して録音し、米RCAレーベルがリリースした一連の“クラシッ |
ク・フィルム・スコア”シリーズのLP(1980年代に米RCA/BMGレーベルがCD化) |
のうち、以下の6枚が米Sonyレーベル(RCA Red Seal)から廉価盤CDとして再 |
発された。以前のCDの大半は既に廃盤となっており、この重要なシリーズが新 |
しい映画音楽ファンにも容易に入手可能となったのは画期的なことだと思う。 |
(2011年3月に第2弾がリリース予定)。 |
《すばらしき映画音楽作曲家たち》から |
このコルンゴルトものは、シリーズ内でもエロール・フリンものなどと重複し |
ているし、MARCO POLO/NAXOSの中にスコアのReconstruct ものがあったり |
してやはり重複したので、同じ曲を何度も聴いてしまってます。もうどれを聴 |
いたことがあるとかないとか、よくわからなくなっていますが、どうやらこの |
アルバム自体は未聴のようなので、手に入れてみました。 |
①はもちろんダブリで、よく知っています。快活なメインタイトルのマーチは |
いささか食傷ですが、それ以降は、時代を感じさせるべたべたしたルバート、 |
リタルダンド、まあ「ずりあげ/ずりさげ」なんですが、かえって新鮮です。 以下簡単に・・・ |
②美しくロマンティックなメロディがよろしい。 |
③ほとんどマーチだけなのがしんどい。 |
④ラブシーンそのもの。 |
⑤全体がファンファーレふう。 |
⑥それなりに複雑なドラマなんでしょう、いろんな楽想が出てきて、印象は一 |
言ではすまない。でもそのごちゃごちゃ感がちょっと小うるさい、かな。それ |
に、のっぺりしたコントラルトの歌(歌手の名はない)が入るのが、苦手。 |
⑦やや変則なリズムのファンファーレのあとはテンポのいい楽想が並ぶ。ファ |
ンファーレが乗りにくい・・・ 全体的には勇ましい感じ。 |
⑧序曲でもエンドタイトルでもないが、強いドラマ性を感じる。 |
⑨この曲はよく知ってます。「ずりあげ/ずりさげ」(あるいはスラー?)が |
すばらしい。⑫と並び、このアルバム中のベストチューン。 |
⑩「愛憎」というのは、詐欺やペテンの結果ということね。この曲も覚えては |
います。スッキリ入ってくるいいメインタイトル。 |
⑪「献身」:「エミリー・ブロンテの死」となってます。ほんのちょっと後期 |
ロマン派の匂いがする。 |
⑫どんな映画か全くわからないけれど、8分強にまとめた組曲ふう。様々な楽 |
想が一つ一つちゃんとまとまっている。ほんとはね、みんなこんなふうにまと |
められたものばかりだといいんですがね、、、ないものねだりです。 |
いいアルバムでした。 |
この一連の録音は、かなり前からポツリポツリ手に入れ始めて、聴きたいと |
思えたものはだいたい聴きましたかね、これで。 |
1930年代から1950年代頃までのいわゆるクラシックフィルムのうち、優れた |
管弦楽曲を、埋もれるのは惜しいということで、スコアが失われているもの |
はreconstructionなどしながら録れなおしたもの。フルオケを駆使している。 |
確か、ここでプロデュースしているジョージ・コーンゴールドが、ゆかりの |
コルンゴルトのものを録音し始めたのが、いろんな作曲家のものにも広がっ |
ていったとかいう話だったと記憶しています。 |
今の映画音楽とは全く違って、相当オーバー、大時代的だけどね、しっかり |
書き込まれたスコアです。 |
ジョン・ウィリアムズなんかに見事に受け継がれてます。E・W・コルンゴル |
トというオーストリアのクラシック系天才的ユダヤ人作曲家が、アメリカの |
映画音楽作曲家としても手抜きをせずに、真面目な作曲をした、その業績が |
このCDだけでもある程度まとめて聴けるわけです。 |