| 20210815(了) |
タンスマン: 交響曲 第5番 他
| Alexandre TANSMAN(1897-1986): Sym.5 |
| (1)交響曲 第5番(1942) |
| ①7:48 ②5:59 ③5:31 ④9:15 |
| (2)イーゴリ・ストラヴィンスキー 追憶の石碑(1972) |
| ⑤5:59 ⑥5:05 ⑦5:19 |
| (3)四つの交響的断章(1956) |
| ⑧5:46 ⑨3:34 ⑩1:23 ⑪6:05 ⑫7:53 |
| メイア・ミンスキー指揮 |
| スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団 |
| 録音;1991年/コシツェ Tot.69:37 |
| 1992年/CD/管弦楽曲/Marco Polo/輸入/中古 |
| <★★★★> |

| フランス人になりたかったユダヤ系ポーランド人、タンスマン・・・ |
| というイメージがピンとくるのは(1)の交響曲第5番。 |
| これは、なんたって、ダリウス・ミヨーの交響曲を彷彿するというか、音色 |
| がものすごく似ている。特に前半。そして後半は、やはり大好きなケクラン |
| との類似を聴きつけ、まあ、聴きたいものを聴きつける勝手極まりないこと |
| ではあるのですが、嬉しかった。 |
| このあまり「高温」にならない音の感覚は、独特としか言いようがない。 |
| 交響曲は、哲学的なものだとか精神的な高揚といったものに繋げる音楽形式 |
| と考えられがちだけれど、決してそうしたものにこだわる必要なんかないん |
| んだと思わせてくれる。 |
| と、それはミヨーとの類似を聴きつけた影響と言えなくもない。 |
| でも、実際は後半では、どこか社会的なものだとか歴史的なものだとかの反 |
| 映かもしれないと思わせるニュアンスもありました。 |
| もちろん、生年では少し前のシマノフスキ(ワタシは大好きです)の国民性、 |
| 自然などを生かした厳しさ、この後活躍するペンデレツキや、ルトスワフス |
| キのような、重苦しくも暑苦しい音楽による社会的な暗いお喋りのようなも |
| のとはまるで比較にならない。まるで方向性の違う上品さやセンスや暗くな |
| らない美しさがもとより本質であって、やや無理した社会性なんかは、云わ |
| ばご愛敬といってもいいんじゃないか。 |
| 第4楽章を静かに聴き終えて、そう思いました。 |
| (2)はて・・・どこかにストラヴィンスキー(1882-1971)いるの? |
| 多分そういう聴き方しなくていいんだろうな。 |
| 基本的に両者の音楽はまるっきり違う。まあ一方は「巨人」ですし。 |
|
「巨人」の石碑を前にして覚えた感覚や言葉を音にしたというぐらいの交響 詩。 |
| ⑤は極めて抒情的で美しい。⑥は「春の祭典」よろしく目いっぱいバーバリ |
| ズムを盛り込んでみたけれど、タンスマンの技法じゃ、しょせんそれっぽい |
| ものができるはずもない、似ても似つかないものになっちゃったなぁ、とい |
| う感じ。⑦では一転、ひっそりと石碑の前で昔を思い出す感じ。接点はあっ |
| たんでしょうね。この⑦に、めったにないストラヴィンスキーの叙情が聞こ |
| えた気がしました。 |
| (3) 四つの断章といつつ、1分23秒の短い 、つまり間奏曲がまん中に挟 |
| まっている。意味なく並べたわけではなく、やはり通して聴いてくれという |
| 意味なんだろう。始めの印象は音色かな。キラキラとして涼しげなこと。ラ |
| メの感じでは勿論なく、星々のきらめきや奥行き感。常動的な⑨でもその印 |
| 象は続く。ひっそりとやや不気味な ⑩Interlude は宇宙っぽいなかなかカッコ |
| のいいサウンド。 |
| その続きの⑪は人間界に戻って、孤独な精神状態にいろんな思いが割り込ん |
| んでくる感じ。 |
| ⑫この音色にはすごく既視感(ああ既聴感か)がある。なんだっけ。やっぱ |
| りミヨーかなぁ。思い出さないや。盛り上がる中間部は美しさを犠牲にして |
| 精一杯凄んでみせ、おしまいはケクランの「ジャングル・ブック」の森に消 |
| えて行く感じか・・・ |
| ポーランドというイメージをまるっきり感じさせない音楽は、もちろんショ |
| パンやモシュコフスキーのようなロマン派の音楽とも違って、始めに書いた |
| ように、フランス人になりたかった、パリにいたかった音楽家なんでしょう |
| ね。時代遅れでビッグネームになるには要件がいろいろ足りないと思うけれ |
| ど、あまり知られないままというのはいかにも勿体ない。 |
|
ワタシには時々聴きたい作曲家なんで、結構好きな方はそこそこいるんじゃ ないか。 |
| ところでこのCD、オケのアンサンブルはさほど上質じゃないし、録音もや |
| や不自然な残響だと思うんだけれど、曲を損なうところまではなんとか行っ |
| ちゃいないので、良しとしますが、もう少しナチュラルな録音だったら、魅 |
| 力はさらに増したろう。ちょっと残念。 |
| せっかく涼し気な曲たちだったのですが、なにせ暑い時に聴いていまして… |
| メモを取るのにだいぶん時間がかかってしまいました。真夏にも拘らず、秋 |
| 雨前線のような停滞前線が日本に居座り、雨続きになったため気温が下がり、 |
| やっとしたためられたというわけです。 |
| 音楽で凉をとるなんてことは、言葉では言えるが、実際はそうもいかないも |
| のです。もちろん分かってはいますがね。 |

| 「季が違うが仕方がない・・・」なんてね。冗談。 |
| ともあれ、前途洋々、これからも楽しめる作曲家! |