休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

「ライナー/ウィーン・フィル」 オン・デッカ;

20210623(了)

「ライナー/ウィーン・フィル」 ;

      ブラームスドヴォルザークR・シュトラウス

 

【CD1】 44:44

ブラームス(1833-97);「ハンガリー舞曲」

  <★★★☆>

 ①第5番 (Parlow版) 2:30
 ②第6番 (Parlow版) 3:48
 ③第7番 (Hallén版) 2:09
 ④第12番(Parlow版) 2:20
 ⑤第13番(Parlow版) 2:01
 ⑥第19番(Dvořák版) 1:43
 ⑦第21番(Dvořák版) 1:11
 ⑧第1番(Brahms自身版) 3:19

ドヴォルザーク(1841-1904);「スラブ舞曲」

  <★★★☆>
 ⑨第1番 Op.46 4:14
 ⑩第3番 Op.46 4:25
 ⑪第8番 Op.46 4:25
 ⑫第10番 Op.72 7:06
 ⑬第9番 Op.72 4:38

 

【CD2】 39:05

リヒャルト・シュトラウス(1864-1949);

 ⑭ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら Op.28 14:49
  <★★★☆>
 ⑮死と浄化 Op.24 24:08
  <★★★★>

 

  フリッツ・ライナー指揮/ウィーン・フィルハーモニー

  録音;1960年6月(ブラームス&ドヴォルザーク)、1956年9月(R・シュトラウス)/
      墺/ウィーン/ゾーフィエンザール Tot.83:49
  CD/管弦楽/2枚組/ⓒ2012 Universal Music Australia/輸入/中古

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2枚組なので長くなりますが、いっぺんに載せることにします。
 
この録音はうんと若い時から知ってはいました。
そして、ハンガリー舞曲とスラブ舞曲はラジオでいくらか聴いたことがある
と思います。勿論覚えちゃいません。評価は高かった記憶があります。
R・シュトラウスのほうは聴いたことないと思う。これは、RCAの録音には2
曲とも含まれていませんでしたから、まあ、このR・シュトラウス2曲のため
に手に入れたようなものです。リマスターは成功しているでしょうか・・・ 
デッカのステレオ録音には、「ヴェルディ/レクイエム」なんてのもあります
が、それはとりあえずパス・・・ 今後手に入れるならRCAの何枚か、かな。
 
2枚の収録時間は合計84分弱だから、今なら頑張れば1枚におさまるん
じゃないの・・・
 
【CD1】
さて、通常は選んで聴くことのないロマン派の軽めの超有名曲の組合せ。
先に大雑把な印象(というか、全き妄想)を書きますと、猛烈に恐ーいマエ
ストロが選んだ自国と自国に由来する軽い2曲(抜粋)が、アゴーギクたっ
ぷり、かつ筋肉たっぷりに演奏されたもの。
 (Agogik;テンポやリズムを意図的に変化させる音楽上の表現のこと)
よくもまあウィーン・フィルがライナーの指示に従って演奏したもんだなあ。
それがね、なんというか、あまりに指示通りに演奏されたもんだから、楽し
いはずなのに、アゴーギクそのものまで妙に厳格に聞こえてしまう、みたい
な、ほぼ冗談みたいな出来になっている。
でもって、恐ーいライナーさんが目をギロッとさせたまま、ニヤッと笑った
(かのような)表情を見せたんじゃない?なんてな妄想を抱かせられる。
あくまで妄想です。どんなもんでしょう・・・
あのウィンナ・ワルツの独特のリズムの刻み方をやるウィーン・フィルだか
らって、ありゃ自発的なもんであって、こっちのは違う・・・

これでいいようなものですが、そうもいかないか。

 

 ブラームス(1833-97);「ハンガリー舞曲」;
「版」のことはもともとよく知りませんでした。ドヴォルザーク版というの
もあるんだ。
上に書いた「厳めしいアゴーギク」という妄想が強く感じられたのは、有名
だからということもあるでしょうが、①②と⑧ですかね。⑧はブラームス

身のオーケストレーションで、よく知っているものと違うような気がしまし

た。

 

 ドヴォルザーク(1841-1904);「スラブ舞曲」;
ハンガリー舞曲」よりはイジリは少なかったようですね。逆に楽しさのほう
は多い感じ。だって、ブラームスじゃないんだもの、ということ?
これ以上書くこと、思い浮かばないや・・・
 
 
木管の音色などはちょっと不満でしたが、おおむね良好な録音だと思いました。
もう60年台に入っていたのだから当然かもしれない。しかも英デッカなんだし。
 
それにしても、ウィーン・フィルは上手い。よくもこんな、ほとんどやりすぎみ
たいな指揮に合わせられるんだもの。

 

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   (若きR・シュトラウスと功成り名遂げた、ジジイのR・シュトラウス

【CD2】
シカゴ響とのステレオ録音(RCA)にR・シュトラウスのこの2曲がないので、
聴いてみようという気になりました。「ハンガリー舞曲」と「スラブ舞曲」はつ
いで、あるいはほぼ付録のつもりでした。

 

リヒャルト・シュトラウス(1864-1949);

ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら Op.28 

                                14:49

分かりやすい有名曲で、ワタシは大好き。ただ、よく知っている演奏は、かのカ
ラヤン指揮のベルリン・フィルでなく、これと同じウィーン・フィル(英デッカ録
音、多分1960年過ぎ?)のもの。高校の1年か2年生の時、友人と共同所有した
LP。なんとも魅力的なサウンドで、流麗且つパワフルでした。
R・シュトラウスの基本イメージはこのLPの演奏で出来ちゃったみたいなもんで
す。色々あることがわかるのは何年もたってからでしたね。で、、、
この演奏は同じウィーン・フィルなのに、ここまで変わるかというぐらいめちゃ
くちゃ違う。カラヤンのあまりのカッコ良さに比べれば、たとえば武骨。でも武
骨というのとも違うんだけどなあ。なんと言えばいいんだろう。
R・シュトラウスと演奏について話し合ったらしいライナーのほうが作曲者の意
図は汲んでいるだろうから、カラヤンのほうがむしろ自由な解釈に基づいている
とも言えそうだし。いい言葉が見つかりません。決してイヤだとか嫌いだとかじゃ
ありませんよ。でもまあ、手兵シカゴ響との録音(RCA)のほうが、音楽的には
スムーズというかこなれているというか・・・
それかあらぬか、独特の緊張感が漂っていて、まるでライブ録音みたい。
それが両者の関係を表わしている可能性は少なくないでしょう。
 
死と浄化 Op.24 24:08
これはあまり回数を聴いてこなかった曲です。死までの色々な出来事やじたばた、
そして死の用意ができた澄明な安らぎのある段階を経て訪れる死。
病弱だった作曲家が、だいたいそんな感じの自らのイメージを、24-5歳ごろ
交響詩にしちゃった。「ドン・ファン」なんて名曲は既に書いちゃってるもんね、
すごいヨ。天才は違う。
詩が先にあったのかと思ったら、なんと、曲を詩人に聞かせて詩を書かせたんだ
とさ。この作曲家は主だった曲はほとんど若いうちに書いちゃったが、けっこう
長生きもした。ちょっとシベリウスと似てるか・・・
で、死の間際に臨死を体験したシュトラウスは、この曲のアイデアが、実際その
とおりだったと言ったとか。さすが、なかなかの御仁です。
地味だけれど、この歳になったからか、いい曲だと初めて感じましたね。もとも
と有名曲ではあるけれど、名曲かどうかは、わからなかった。
 
録音に触れないわけには行きません。
『死と浄化』のほうではほとんど抵抗感はなかったのですが、『ティル』のほう
は派手な曲だし、あまりよくなかったですねぇ。木管のニュアンスに魅力が乏し
かったのと、低音(主にコントラバス)がモゴモゴ、ドローンとして締まらなかった。
まあまあのモノーラル録音のようでした。ステレオ録音のはずであるにもかかわ
らず、実際は音の広がりがほとんど感じられなかった。