休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

『山怪 山人が語る不思議な話』

20210512(了)

『山怪 山人が語る不思議な話』/田中 康弘

 
 Ⅰ 阿仁マタギの山
 Ⅱ 異界への扉
 Ⅲ タマシイとの邂逅
 
   2015年6月/山と渓谷社(単行本)/中古
   <★★★☆>

f:id:kikuy1113:20210522013336j:plain

 現代の遠野物語 

    山の怪談ブームの先駆け

なんて、帯にあります。
 
中に53もの、やや奇怪な聞き書きのお話が収められている。
ストーリーとしては完結していない体のものがたいはん。
狐、狸、鬼火などを疑うものは多い。特に狐。がしかし、かもしれないと言
っているだけ。
あくまで「かもね」までであって、確認出来ているものも、確認しようとし
たものも、ほぼない。
一篇が短く、その中にさらに複数の「山怪」がつけくわえられているケース
も多いから、53話じゃない。ほとんど倍以上だろう。すごい数。しかもこの
本の続編があと二つ出ているから、ほとんど際限なくあるんだ。
 
中には確かにゾワッと来るのもあるけれど、おおむねはさらっと語られ、そ
う怖いというほどでもないし、恐がらせようという意図もなさそう。
酒の肴に最適!
これを書き留めた、本職がカメラマンの著者にしたって、かなりを呑みなが
ら聞いたんじゃないかな、想像だけど。

f:id:kikuy1113:20210522013559j:plainf:id:kikuy1113:20210522013626j:plain  f:id:kikuy1113:20210522013650j:plain

こういう軽いお話のウェイトが高いですね。
短いのを探して、これにしました。もっとゾワゾワ来るものにしたかった。
実際にはあるんですけどネ。

それにしても、マタギと山はお話の宝庫。

こんなふうに並べられると、圧巻。

 
枯れ木、枯れ枝、苔などでふかふかの斜面の足元とか・・・しばらく忘れて
ます、人の営みが濃く感じられない・・・山の匂いなんかを。

 

梅雨に入っています。

山の中でびしょびしょになると、帰って靴を脱いだら、蛭にしっかり吸いつ

かれていた、なんていうことも、ついでに思い出しました。