| 20210321(了) |
The Empire of Corpses
| プロローグ (伊藤計劃) |
| 第一部 (円城塔) |
| 第二部 (円城塔) |
| 第三部 (円城塔) |
| エピローグ (円城塔) |
| 2012年/SF小説/河出書房新社/単行本/中古 |
| <★★★△> |

| (通販の惹句) |
| 屍者復活の技術が全欧に普及した十九世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の |
| 諜報員となり、アフガニスタンに潜入。その奥地で彼を待ち受けていた屍者 |
| の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け、「ヴィクターの手記」と最初 |
| の屍者ザ・ワンを追い求めて世界を駆ける―伊藤計劃の未完の絶筆を円城塔 |
| が完成させた奇蹟の超大作。 |
| 「フランケンシュタイン」や「カラマーゾフの兄弟」の話やキャラクターが |
| 出てきて、読むほうはそれに関係あるんだろうかと思ってしまうが、そもそ |
| も読んでもいないので、わかりゃしない。無教養は今更どうしようもない。 |
| 主役のジョン・H・ワトソンは勿論ホームズの友と同じ名前(同じキャラか |
| も)で、ここでは若く、ノーマルなキャラの医学生で、M(’007のあのMや |
| ろか、いやいや、かの偉大なる探偵の兄の頭文字か)やヴァン・ヘルシング |
| 教授(って、あのドラキュラ話に出てくる?)に誘われてノホホンとした諜 |
| 報員になり、いろんなキャラたちと世界を駆ける。 |
| イギリス発。まずはアフガニスタンへ・・・ |
| なんとなんと、世界(主に欧州)は死者を日常の労働から戦場まで使う世界。 |
| 何らかの物質やなにかで、死者が生者の指示を受けて動く生きた死者、つま |
| り「屍者」として、さながら奴隷のように、あるいはロボットのように、そ |
| してもちろん今風に言えばAIのように・・・ でもそれは違うのね。コン |
| ピューターなんぞまだできていない19世紀末のお話だから。 |
| であるものの実は、それっぽいもの、昔考えられた計算機を複雑にしたよ |
| うなものが出来ていて、けっこう複雑な計算や記憶っぽいものをこなしてい |
| る世界でもあるという設定。 |
| ただ一人のナチュラルなキャラであるワトソンの「冒険」を秘書的に ~記録 |
| 係・記憶係的に~ 助けるのが高級な「屍者」で、名を「フライデー」という。 |
| ロビンソン・クルーソーのあの彼の名なのがふるっている。 |
| ワトソンと行動を共にする面白キャラがいろいろいるのみならず、ほかにも |
| いろんな名が出て来まっせ。日本にも行くし。 |
| アフガニスタンに行く理由は、「屍者」に関してどうも不穏な動きが出てい |
| て、その情報の発信源がアフガンだから。 |
| 本来は人の指示がなければ木偶であるはずの「屍者」。その「屍者」だけの |
| 世界を作ろうともくろんでいるらしいスーパーな「屍者」の存在だとか、生 |
| 者を「屍者」にする方法だとか、生者が直で「屍者」になりたがる動きだと |
| か、まあそうした事例が、意識とはなんぞや、魂とはなんぞや、だとか、世 |
| 界はどうなっていくんだろうという根源的な問いかけを一緒に引きずりつつ、 |
| 詳らかにさせようという。そりゃあもう「奇蹟の超大作」!? |
| 様々な勢力とのぶつかり合いや軋轢もある。 |
| それが、表現が妙に屁理屈っぽくて固く、且つ観念的なもんだから、ややこ |
| しくてなかなかすんなり頭に入ってこない。特にはじめはシンドかったです。 |
| ちょっとだけ紹介してみますかね、なにを選ぶか迷いますが・・・ |
| スーパー屍者(ザ・ワンという)との問答(終りのほう)の一つ。相手はワ |
|
トソンではありません。
|
| ・・・ |
| 「わたしはもう、自分が人間に造り出されたものだとは思っていない。 |
| わたしは、ただどこかで生まれたものだ。人間に対する恨みはない。人間 |
| の造り出すものはわたしを楽しませてくれる。もう少し人間という種には |
| 生き延びてもらいたい。自らの意思を信じるものとしてな。それではまだ |
| 充分ではないかね」 |
| 「信用はできん」 |
| 「しかし他に方法はない。君たちが屍者の帝国を望むのなら話は別だが。 |
| すべての人間が、上書きされた生者のように動き続ける世界、人間の形を |
| した機械人形たちの支配者なき夢の世界だ。彼らにも単一化された意識は |
| 随伴しているが、ただそれだけのことにすぎない。彼らは自分たちが上書 |
| きされた生者だとさえ気づかんだろう。彼らには他者が自分たちと同じよ |
| うに、世界を、色を、音を、形を、ありありと感じているかもしれないと |
| いう発想自体が理解できない。君が今感じる青とわたしの感じる青が同じ |
| 青でありうるかという問いを理解できない。単一のXによって実現される |
| 意識はその機能を持たないからだ。せめぎ合いのない世界、解釈も、物語 |
| も必要のない、ただのっぺらと広がる世界、完全な独我論者たちの世界だ。 |
| 全てはただそこにあり、あるだけとなる。あらゆる文化は停滞し、全ての |
| 佳きものはただの模様へと還る」 |
| 「あんたがそう言っているだけだがな」 |
| 「事態を放置し、確かめてみるつもりはあるかね」 |
| ・・・ |
| 「冒険」と書いたけれど、多分これって結局それでいいんじゃないかと思い |
| ました。やたら高尚そうな議論がポンポン出て来て、中に気の利いた感じに |
| 思える言葉が多いもんだから、つい引っ張られてページの耳を折ったりして |
| しまったけれど、読み進むうちに、ああそれだとオレのようなもともと教養 |
| の乏しい人間だと元ネタがわからず、気にし始めたら苦行にしかならないと |
| 考え始めて、フーン、フーン、と軽くいなすように読むようにしました。 |
| それでよかったかどうかはわかりませんが、奇妙奇天烈、ゾンビものと関係 |
| ありそうで交わらない、ケッタイなSF小説やったなぁという気持ちで読了出 |
| 来ましたヨ。ケッタイついでに言えば、エピローグで、ワトソン博士のいわ |
| ば動く記憶媒体であったフライデーがアッと驚く存在へ変わっていくことを |
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ほのめかしています。
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| ハァ・・・ワタシにはこれが精一杯・・・ |