休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『イエスタデイ』

20210203(了)

映画『イエスタデイ』

  ダニー・ボイル監督//ヒメーシュ・パテル/リリー・ジェイムズ
  2019年製作/117分/G/イギリス/原題:Yesterday/DVDレンタル
  <★★★★>

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どんなものかよく調べもしないで借りました。よく使われる「アビー・ロード」
のアルバムジャケットのもじりのポスターだったので、ザ・ビートルズと関係が
あるとは思っていましたけどね。観てビックリ。全くのファンタジーでした。
 
英国のどこかですね。インド系の若いシンガーソングライター、ジャックがホー
ムセンターでアルバイトをしながら、自作を細々と発表している。ごく普通の家
庭の出身。幼なじみの女性がマネージャーまがいの手伝いをしている。彼女は数
学の教師。
ある時(イギリスにとっては夜)、地球全体が(!)12秒の停電を起こす。磁
気嵐だったか、なにかそんな理由。で、おりしも自転車に乗っていたジャックは、
バス(トラックだったかな)にはねられ昏睡。醒めると、世の中がちょっとだけ
変わってしまっているのね。なんと、ザ・ビートルズがいなかった世界になって
しまっている!
まあほかにも無かったことになっているものがあって、徐々にギャグっぽくなっ
てゆくんだけれど、ともあれ、ジャック以外にザ・ビートルズのことを(=曲を)
知っている人間がまるでいない。レコードも本もネットにも、一切ビートルズ
いなかったことになっている。
癒えて活動を始める。最初は知り合いたちに「イエスタデイ」をポロンとお披露
目。皆いい曲だと感心してくれこそすれ、ビートルズのビの字もわからない。何
曲か歌ううちに、当然名曲のオンパレードなんで、徐々に人気が出て、業界人の
目に留まりだし、その世界に取り込まれるようになって行く。人気と共に活動が
みるみる広がり、そしてせわしなくなって行く・・・
他人のふんどしで有名になって後ろめたいだけでなく、自分でなくなって行くの
にも猛烈に不安を覚え始め、ザ・ビートルズの曲で言えば、もろに「HELP!」
という曲そのものになって行く・・・ まるでディズニーのストーリーみたい。
 
ザ・ビートルズは、中学校の3年生ごろには人気が出始めていたような記憶があ
ります。プレスリーの人気と入れ替わるような感じだったかな・・・ ロック
といってもまだバタバタしたロックンロール系の曲ばかりだったかなぁ。こっ
ちはある重大なきっかけがあって、クラシックに入れあげ始めていたから関心
外だったのですが、ラジオでどんどん耳に入るようになるに及んで、いい曲は
覚えるようになってきちゃった。その後は現在進行形で聞こえ続けていました

が、ポップスにさく時間はなかった。しばらくの後、ジャズには開眼しました

けどね。

ところが、なんとレコード業界に関係のある仕事に就いたため、彼らのレコー
ド群とも縁は続いたと言っていいと思います。まあそんなことはどうでもいい
ようなものなのですが、ワタシの年代はそんなふうにこのバンドや個々人の活
動と同時進行で成長して行ったような面がなくもないもんだから、この映画の
ような扱われ方には、ワタシだけでなく、今やジジババになったみんなも、ノ
スタルジックに反応する人が多いんじゃないかな。
 
そうそう、「疑問」を持ったらしい人、初めて聴くわけではなさそうな人が二
人ほど現れるのです。さあどうなってしまうのだろうと、不穏を感じさせます。
でもうまく回収され、ファンタジーで通してくれてます。(ネタバレですかね)
シチュエーションが面白く、それがすべてじゃないでしょうか。まあ、二番煎じ
は当分出来ないと思います。
最後あたりで、ロバート・カーライルが意外な人物を演じています。背丈はと
もかく、顔はかなり似ていた、多分。