休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画/黒い司法

20210131(了)

映画『黒い司法 0%からの奇跡』

  デスティン・ダニエル・クレットン監督//マイケル・B・ジョーダン/
                 ジェイミー・フォックス/ブリー・ラーソン
  2020年製作/137分/G/アメリカ/原題:Just Mercy
  <★★★☆>

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邦題がかなりつまらない。原題もそう。
もう、まさに BLACK LIVES MATTER ・・・
といっても、なにやらわかるようでピンと来ない言葉ですが、確か村上春樹
さんでしたっけね、この言葉の意味するものは
 「もし僕が訳すとしたら『黒人だって生きている!』というのが近いよう
  に思うんだけど、いかがでしょう?」
と言ってらっしゃるのが、最近新聞に紹介されていました。
 
若い黒人の弁護士が発起し、北部からアラバマに来て、死刑囚を色々と助け
ようという活動を始める。
とっかかりに、5-6人について調べ始め、そのうちの1人に罪人どころか、
そもそもが冤罪だという感触を得て、活動を集中する。
が、今でもそうなのかもしれないのは、人種差別に基づいた事件が起きてい
るからこそのBLACK LIVES MATTER の運動であるわけだけれど、この実話
に基づく話は1985-6年頃だったかな、今からざっと35年ばかり前のことだ
から、もっともっと露骨な差別の、あるいは差別以前の状態だったのかもし
れない。
 
情状酌量の余地があり、死刑はきびしすぎると思われる囚人が、助けられる
ことなく電気椅子に連れて行かれる話がしっかり描かれてせつないが、この
映画の中心に据えられている事件の、再診までの道のりのなんと長い時間。
ここでは少ししか描かれないけれど、実際は嫌がらせや邪魔だてが猛烈にあ
ったろうと想像される。そうした中での長い時間が、ひとえに差別以前とし
か言いようのない理由によってなのだと分かるのが辛すぎますね。
たまたまね、この事件が冤罪であったとわかって、感動もあるんだけれど、
検察側の問題点にはほぼ踏み込まない。一つ一つがこんなにかかったんじゃ、

罪人扱いされた人も弁護士もたまらない。しんどくてもたない気がしてしま

う。

(つらいとかシンドイとか書いてしまいますが、実はワタシなんぞこの差別

の現実なんか、ろくに理解なんぞしていないでしょうけどね。)
 
たまたまメイキングが付いて、見れば映画の製作クルーが監督(ハワイ出身
モンゴロイド)以下、実に様々な人種(白人以外)の方たちが担っている
らしいのも、なんとなく納得。
超有名俳優であろうジェイミー・フォックスは熱演。有名すぎていろんな意
味で浮いてしまうのではないかというのは杞憂でした。(演技のことなんか、
この映画で軽々しく言いにくいんですけどね)  逆に、主役の若き弁護士の
忍耐や冷静さに、不満も出たかもしれない。するっと出来過ぎだとか。
でもね、欲張って描き過ぎないことや、冷静な態度が製作の意図の一つだっ
たことは、おおいにあり得る。
とても分かりやすくできていると思いました。
製作年が去年になってますから、タイムリーかというと、そんなわけはない。
ずっと「タイムリー」であり続けているということですね。