| 20201008(了) |
記憶の技法/吉野朔美

| (1)記憶の技法 |
| TAKE:1~5 |
| (2)霜柱の森 |
| (3)アンナ・O |
| (4)女子高校生殺人日記 |
| (5)粉ミルク |
| (6)透明人間の失踪 |
| (7)恋愛家族 |
| essay 東 直子 |
| 2006年9月/漫画/文庫/小学館/中古 |
| <★★★☆> |
| 〈通販解説〉 華蓮(かれん)は、偶然見た自分の戸籍抄本に不可思議な記載 |
| をみつけた。亡き年下の姉の存在。記録から消された実父母の氏名。自ら |
| の過去に疑問を抱いた華蓮は、隠された真実と封印された記憶を取り戻す |
| ため、旅にでる――。 |
| 上記は(1)の解説に当たる。 |
| 珍しく漫画読みました。久々です。どういうことでリストアップしていた |
| か忘れてしまいました。この方映画好きで、書かれた文章が面白くて、そ |
| の関連だったかな、、、 |
| (2)以下の作品も面白いんだけれど、本の五分の二ほどを占める(1)の |
| 印象がどうしても強かったので、感想文はこれだけにします。 |
| 解説には一言も触れられていないんですが、かなり世間知らずで、いたっ |
| て明るい華蓮を、ほとんど徹底的にサポートするという奇妙な存在の男の |
| 子がいるのです。漫画に色はないんですが髪がまるで金髪。(これは染め |
| ているんだな) そして何より目が青っぽい。欧州系でもなんでもなく、 |
| 偶然そう生まれついた日本人。同じ高校生、同クラスなんだが、大人っぽ |
| さが目立つ。おせっかいな彼の境遇もオイオイわかっては来るんですが、 |
| 何はともあれ、彼女の遠出。親しかったわけでもないこの男子を連れての |
| もの。じゃない、逆に連れられてと言ってもいい、ほとんど珍道中。また |
| 多分「珍」が付かなきゃ、シチュエーションとしては、あまりに嘘っぽい |
| というか、不自然。 |
| 彼女は親には韓国への修学旅行のままにし、学校にはお祖母さんの見舞い |
| だと、両方に嘘をついて、九州へ出自探しに行く。 |
| 彼は美男だし、彼女も美女っぽい。それだけだと、ワタシなんかこんな絵 |
| のマンガはストーリーや中身がなんぼ面白くても絶対イヤなんだが、そう |
| 思わせなかったのは、彼女は正面を向いているとそういうカワイコちゃん |
| なのに、たとえば、横顔を見せている時の多くは、尖った小さな鼻、そし |
| て鼻の下が長く、口の表情がたいてい鼻じらんでいたり、あきれていたり、 |
| 怒っていたり、といった、いわばカッコのよくない顔つきをしていて、完 |
| 全に三枚目。そういう描き方がとってつけたものでなく、自然だったから。 |
| ま、「珍」の続きということになるのかもしれない。 |
| それだけでもないんですけどね。 |
| ところで、タイトルの「記憶」。 |
| 封じ込められた記憶がどうのこうのというふうに扱われているだろうこと |
| は始めからわかっているわけですが、彼女の時々飛びがちな記憶とは別物 |
| で、これが彼女の出自探しの本来の理由。 |
| 出自はわかります。ほとんど「猟奇」ふうな事件がわかってくる。その描 |
| 写、ダークにならずにさらっと、でもとてもインパクトたっぷりになされ |
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ていて、うまいと思いました。それに、彼女も暗くならない。映画的とい うのでもない。 |
| で、彼のことは・・・それはまあおまけみたいな感じ、かな。 |
| その他の短編の中には、上記の「彼」のスピンオフも含まれています。 |
| 女性漫画家のものをちゃんと読んだのは、ひょっとすると初めてかもしれ |
| ない。そうたくさん漫画を読んだ人間でもないのですが、女性の書く絵が |
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どうしてもだめだったですね。例外的だったのは「サザエさん」ぐらいで しょうか。 |