休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『ヤコブへの手紙』

f:id:kikuy1113:20201014002252j:plain

 

20201001(了)
 映画『ヤコブへの手紙』
  監督:クラウス・ハロ//カーリナ・ハザード/ヘイッキ・ノウシアイネン
  2009年製作/76分/フィンランド/原題:Postia Pappi Jaakobille
  <★★★★>

 

終身刑だかで服役中の、やや太めの目つき鋭くドスの利いた女が、恩赦を
受けてシャバに出る。条件があって、行かされるのは、盲目の牧師の牧師
館。なんで恩赦で拘置所を出られたのかは、泣かせる話で、最後にならな
いとわからない。
恩赦を受けてもふてぶてしいこの女は、食事の世話なんかしないと、最初
っから宣言しておいて牧師館にとどまる。一度はトンズラしようともする。
一方牧師は、神が自分に何をさせようとしているのかけっこう懐疑的。で
もわけがあってこの女を自分のところに来させたとりあえずの理由は、教
徒など誰もいなくなっているんだが、送られてくる手紙に反応してあげる
のを続けること。彼が正気を保っておれるのはそのことがあるからかもし
れないと思わせる。体力も気力も限界に近い。
ともあれ、届く手紙を読んでもらい、返事を口述筆記し送るというような
ことを女にしてもらおうとしているらしい。前にもそういう人間がいたが、
いなくなっていた。
牧師館からポツンと湿地帯にある教会までは1キロかそこいらかな。2キ
ロはないだろう。海が近いようだった。この教会、遠目には小さく見える
ものの、中は案外広く見える。椅子などなんにもなくガラーンとしている
から余計に。これまで牧師は杖などを頼りに、一人でなんとか行き来でき

てはいた。どちらの建物の中も勝手はわかっている。

 

ぎこちない二人の関係は、さてどんなふうに進むのか。
彼ら以外には、郵便配達夫が出てくるだけ。彼も大事なキャラ。
女の冷たくきつい目つきは、おしまいのほうまでほとんど和らがない。ほ
とんど、なのであって、最後には少し変化するけどね。
 
複雑な話じゃありません。
ワタシは基本的にクリスチャンの話(広く宗教といってもいい)はノー・サ
ンキューなんですが、これは抵抗感は少な目で、わかりやすいいいお話でし
た。これ書くのは恥ずかしいのですが、まあ今更どうということもないでし

ょう、泣けてしまいました。冬になる前らしいフィンランドが地味に美しか

ったですね。

 
牧師館というと・・・もう今はオフクロを教会に送り迎えすることはほとん
どなくなっています。日本基督教団のこの地区の担当は40歳前後の若い牧
師で(ミステリー好きだということは知ってます)5人家族だったか。教会
にくっつくようにある牧師館が所帯持ちにはあまりに手狭。増築するか建て
直すか等々ずっと揉め続けてきていました。まあ、結局はお金の問題。オフ
クロはどっちにしろ教会員数が先細りなんだから無理だと、反対してました。
それが、このごろ解決したんだそうです。どうやらすぐ近くに空き物件が出、
家賃がリーズナブルだというので、そこを借りることにしたとか。思い出し
ました。
オフクロが死んだら、この牧師のお世話になります。