20200922(了) 映画『チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密』 |
監督・脚本・編集;ショーン・ベイカー//ドリー・ヘミングウェイ/ |
ベセドカ・ジョンソン/ステラ・メイブ/ジェイムズ・ランソン |
2012年製作/103分/アメリカ・イギリス合作/原題:Starlet/ |
<★★★☆> |
親と何があったか、飛び出して都会の片隅でポルノ女優をやっている若い女。 |
仕事仲間である友人とその彼氏(大家)~との共同生活。思い立って部屋の |
模様替えをすべく、ガレージセールで調度品などを揃えようとする。 |
安物をいろいろ買いこんだ中に魔法瓶があって、花瓶にでも使おうとしたら、 |
中から古い100ドル紙幣で計1万ドルほどが見つかる。気になってしまっ |
た彼女は、売ってくれた老女に偶然を装って近づき、金のことを話すべきか |
どうか、探りを入れるのだが、かたくなな老女は詐欺を疑ったりしてなかな |
か打ち解けようとしない。繰り返し彼女が近づくので徐々に気を許すように |
はなるのだけれど、老女は身の上のことはたいして話してはくれない。 |
彼女が押しかけて親し気を装う形で、老女の買い物やビンゴゲームや墓参を |
介して、なんとか会話はするようになるのだが、、、 |
老女と彼女の友人のほかには、出ずっぱりの出演者がいて、それが、彼女が |
飼っているチワワ。だからそのチワワ(オス)がみんな見ていたよ、という |
ことでこういうタイトルにしたんでしょう。この邦題「チワワは見ていた」 |
のほうは作品に失礼じゃないかしらん、難しいとは思うけど。原題のStarlet |
は彼女が飼っているチワワの名前。このタイトルのままでもダメだけどね。 |
この作品の主眼は結局彼女と老女の関係がどうなるのかな、ということに |
つきるんだけれども、それは最後になってもぼんやりとしか見えない。で |
も老女が時々花を手向ける墓を彼女が最後に見ることになった時の墓石の |
文字(言葉)と彼女の様子からは、二人の関係が前向きな暖かいものにな |
ってゆきそうな感じ。一方友人との関係は、これもわからないんだが、い |
い方向には進みそうもない感じ。 |
ま、予想だけどね。余韻にまかせてしまったみたい。 |
ポルノ女優の生活圏の人たちの、なんというか、いわば雑な生き方が見え |
てしまう話なんだが、とても考えられた脚本と共に、低予算なんだろうが |
丁寧に作られていて、こっぴどく殺伐としたものは漂わない。片や、老女 のかたくなさにアメリカの今を見るだけでも済ませられない、案外いろん な見方ができる作品だと思いました。 |
それに、出演者たちが皆すごくいい。というか、すごくうまい。しっかり |
した演出を施し、編集もいいんじゃないでしょうか。その辺の知識も観察 |
眼もろくにないワタクシメですけどね。老人の顔に馴染んできました。年 齢相応なんですねぇ。 |
そしてチワワ君。人間に引けを取らない(といってはナンですが)存在感。 |
撮影の苦労を想像したってしょうがない。見事に演技していました。なか |
なかのものだと思いました。 |