(名演奏だと思います)
20200520(了)
R・シュトラウス:家庭交響曲&町人貴族
Richard Strauss(1864-1949)
(1)家庭交響曲 Op.53(1903) 42’36
①Bewegt; Sehr Lebhaft;Ruhig (5’21)
②Scherzo; Munter (6’27)
③Massig langsam und sehr ruhig (6’04)
④Adagio; Langsam (12’13)
⑤Finale; Sehr Lebhaft (13’32)
(2)組曲「町人貴族」 Op.60(組曲版;1918) 30’13
⑥Ⅰ.序曲 (3’49)
⑦Ⅱ.メヌエット (1’27)
⑧Ⅲ.剣術の先生 (1’45)
⑨Ⅳ.仕立て屋の入場と踊り (4’40)
⑩Ⅴ.クレオンテの登場 (4’54)
⑪Ⅵ.第2幕への前奏曲(間奏曲) (3’13)
⑫Ⅶ.宴会 (10’08)
フリッツ・ライナー(1888-1963)指揮/シカゴ交響楽団
録音:(1)1956年11月、(2)1956年4月/シカゴ、オーケストラ・ホール
2002年10月/CD/管弦楽曲/BMGファンハウス/邦盤(Tot.73’58)
(1)&⑫<★★★★△>、(2)<★★★☆>
リヒャルト・シュトラウスとしっかり接点のあったライナーの録音。
メインどころはおととし、2枚組で聴きました。録音がちょっと辛いのも
ありましたが、おおむね満足、その2枚組に入っていなかった曲が気にな
っていました。その一つがこれ(1)です。
このCDの2曲は特に好きだったわけではないので、録音の古さもあって、
期待はせずに聴いてみました。
(1)こんなに魅力的な曲だったんですね。バカでした。聴いてよかった。
確かに有名曲にある超魅力的な曲想はないけれど、これぞR・シュトラウス
というゴージャスなオーケストレーションがたっぷり楽しめました。
そしてライナー/シカゴ響のなんという緊張感、凝集力! 好きだったカラヤ
ンのものとは全く別のアプローチなんで、言い過ぎかもしれませんが、ほと
んど別の音楽。(ああ、カラヤンについてはこの2曲は知りませんけどね)
録音は、、、先に聴いた2枚組の中で、1954年録音の「英雄の生涯」が驚
愕の素晴らしさだったのに比べると、ちょっと落ちて少々ギスギスしている
ものの、音楽も演奏も十二分に楽しめました。
中身のことは知らんのです。ライナーは演奏のことばかりだしね。
で、想像する。王家の愛憎が入り乱れる物語なんかじゃなく、リヒャルト・
シュトラウスなんだから、こりゃあ、ある「英雄」の家庭・・・
そうそう、らっぱ、特にトランペットの強奏がパワフルとはいえ、音色的に
は他と違ってバランスが悪いようでしたね。キズかなぁ、そうでもないのか
なぁ。
(2)のほうはちゃんと聴くのは初めてかも。
モリエールの原作戯曲を、ホーフマンスタールがドイツ語訳して音楽をシュ
トラウスが付けた劇音楽。ドイツ語版初演は1912年。劇中劇もあって長た
らしく、不評だったらしい。その組曲版。オケは40人ほどの小人数。
ⅠからⅥまでは、ワタシにも面白くありませんでした。100年も前のロマン派
の軽かったり可愛かったりする音楽、またもっと前のバロック調の音楽だっ
たりと、それだけ聴いても楽しめない映画音楽みたいなもの、といった感じ
でした。ただし、おしまいの⑫Ⅶ.だけは別格。これは(1)と変わらないわ
くわく感に満ちて、見事なリヒャルト・シュトラウス調!
(語弊が生じざるを得ない表現ですね、パトロンあっての作曲家ですから
・・・、でも、なんでここだけ?)
てな感じで楽しみましたよ。これだけで10分ありましたからね、「オォ!」
録音は(1)よりギスギス感が少ない。オケの規模を考えたんでしょうか。
(1)のところで書いた2枚組、車の中でざっと復習しました。
パワーや凝集力が半端でない。それにスピードもスゴイ。まあ概して速め
のところはビックリするぐらい速い。これが、R・シュトラウス直伝のテ
ンポなのかもしれない。
「ツァラトゥストラはかく語りき」と「英雄の生涯」が並んで入っていて、
いわば、雄々しい「英雄の生涯」2連発という感じ。カラヤンのスーパー
オケによる演出巧者な録音も大好きですが、こちらもタイラント的なライ
ナーのちまちましない猛烈な録音にも、スゲーッ!!! あらためて平伏いた
しましたですよ、ハイ。
(もっとも、団員が当時幸せだったかどうかは、ちょっとね、怪しい気が
する。)
(この後は、つけたし)
そして、後日アップすることになるはずの小三治さんの『ま・く・ら』
(まあエッセイの類って言っていいのかな)の中にある一篇で、CDに対
するある施術が載っている。やったところ、全体に明らかに音が豊かに
なりました。安っぽい音がしていた金管が浮かなくなったり、バランス
よくなったし、(2)では柔らかい音質だったものが、スキッとしたり。
だから、実は、上記の印象より良くなっちゃったのです。
この施術による音の良化の感じ、すごく書きにくい。うまく書けるやろ
か・・・ 結果、CD盤は売り物にはならなくなった。まあいいでしょう、
64-5年も前の名演奏の録音がうんとよく聞こえ、楽しめるんだもの・・・
RCAへのR・シュトラウスの録音は、あと一つ、歌劇「エレクトラ」と「サ
ロメ」のいくらかづつが入ったもの(抜粋とも言えないほどわずかづつ)
だけのはず。
ま、またいつか・・・