休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

リード木管の三重奏

20200324(了)
田園のコンセール ~ フランス近代管楽作品集
TROIS D'ANCHES

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(1)ジョルジュ・オーリック(1899-1983);
   ①-③三重奏曲(1938) 11:05
(2)ジャック・イベール(1890-1962);
   ④-⑧三重奏のための5つの小品(1935) 8:05
(3)ダリウス・ミヨー(1892-1974);
   ⑨パストラーレ〈田園曲〉 3:52
(4)ジャン・フランセ(1912-1997);
   ⑩-⑬ディヴェルティスマン(1947) 10:24
(5)アンリ・トマジ(1901-1971);
   ⑭-⑱田園のコンセール 9:05
(6)ダリウス・ミヨー
   ⑲-㉖組曲コレットによる〉 8:55
(7)フローラン・シュミット(1870-1958)
   ㉗-㉚ア・トゥール・ダンシュ 14:23

 

   フランソワ・メイエ(ob)
   ポール・メイエ(cl)
   ジルベール・オダン(バスーン)
   エリック・ル・サージュ(p)㉗-㉚
   録音:1998年6月&8月
   CD/2001年/室内楽/BMGファンハウス/邦盤/中古
   <★★★★☆>

 

《帯惹句》 名盤「プーランク室内楽全集」と同じスタッフ(略)の制
作による当アルバムは、20世紀フランスの管楽三重奏の知られざる名作
を収録。メイエ兄弟とオダンという、純粋なフランス式の管楽器の伝統
と演奏様式を身につけた名手による、ギャラントで洗練された絶妙なア
ンサンブルを聴くことができる。 三重奏という最小のアンサンブルから、
多彩で生き生きとした音色を引き出すことのできる自国の個性的な管楽
器の音色を愛した作曲家たちが生み出した傑作ぞろいである。


3月初めにメモした『フレンチ・コネクション』の関連で見つけた期待の
アルバムだが、順序は逆で、この『田園のコンセール』が先に作られた。
そしてこのアルバムは、多分柳の下を狙った『フレンチ・コネクション
を凌ぐ。というか、こいつぁ「フレンチ」そのものやけどな。

素朴、田園ぽさ、鄙び・・・こうした言葉が喚起する南欧のイメージに、
これほどまでに心地よく浸れるアルバムは、まあちょっとないでしょう。
例外は(7)だけ。
(7)以外はリード楽器3つ。(7)にはそれにピアノが加わっていて、完
全に音質も音楽の質も変わってしまった。決して苦手な音楽というわけ
でない、いやむしろ非常に好きなタイプなんだけれど、アルバム内で、
これだけが音楽の質感が違っているということ。まあいわば「プーラン
クになる直前」という感じがする音楽!
さらに言うなら、インテンショナルな曲の組み合わせとリード楽器でない
フルートが主役であることによって『フレンチコ・ネクション』に特徴的
なのが、“コネクション”、つまり繋がっているという事実やその面白さの
ほうであるということ。ミヨ―とフローラン・シュミットは作曲家として
はダブってるんですけどね、少なくともミヨーは集わせられたコンセプト

が違う。

 

戻ります。
名手3人のリード楽器のアンサンブルは完璧で、フルートのような空気を
多く含む音質でなく、つややかでかつ実にまろやか。おそらくバスーン
ファゴットでなくバソンであることも関係あるかもね。
フランセのみならずこのアルバム全体が喜遊曲・・・


(1)オーリックにいきなり捕まれます。映画音楽もよかったけどね。これ
は素敵。(2)のイベールは完璧に(1)に続いているけれど、(3)の「パ
ストラル」にもうまく橋渡ししている。で、(3)はおとなし目ながらミヨ
ーならではの発想。
敢えて好きな度合いで言えば、(6)のミヨー(これは知っています、これ
らの中ではさすがに進んだ音楽)と大収穫の(4)のフランセかな。これら
は、生で聴いたら涙が出るかもね。
で、珍しいのはトマジの(5)。でも本当は珍しいものではなくて、この作
曲家はもともと管楽器を使った作品に実力を発揮したんだそうな。知らな
かった。優れたセンスの持ち主だと思う。ワタシの拙い絵画鑑賞の経験か
ら言うと、好きなバルビゾン派の絵を連想しました。
ざっと言うならこんなもんで、久々の高得点アルバムになりました。


同じようなコンセプトでは他にはなかなか集めようがない気もしますが、
こんなうまい3リードが集まっているものがほかにあれば、聴いてみたい
もんです。
フランセにはほかにも管楽アンサンブル曲があるはずなんですが、見つか
らない。
長男が二つ目に出た大学の学園祭のようなもので聴いて、大いに気にいっ
たんですがねぇ。もちろんもう昔のこと。木管8重奏ぐらいだったかなぁ。
こういう記憶は結構ある。それを追いかけたか、「よかったなぁ」で終わ
らせたかでは、その後の鑑賞の楽しみに、大きく影響したんだと思います。