休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

バラダ/3つの協奏的作品

20191229(了)
バラダ/3つの協奏的作品 Leonardo Balada (1933-)

(1)ピアノと管弦楽のための協奏曲 第3番         (1999)
  ①6:35 ②8:19 ③9:06
(2)ギターと管弦楽のためのコンチェルト・マジコ    (1997)
  ④太陽 6:17 ⑤月 12:17 ⑥妖精 6:49
(3)フルートと管弦楽のための音楽         (2000)
  ⑦10:36 ⑧10:11

  ローサ・トレス=パルド(ピアノ)/エリオット・フィスク(ギター)/
  マグダレナ・マルティネス(フルート)
  バルセロナ交響楽団&カタロニア国立管弦楽団
  ホセ・セレブリエール(指揮)
  録音;2000年7月、スペイン、バルセロナ、サラ・シンフォニカ・オーディトリ Tot.70:11
  CD/現代音楽/協奏曲/Ⓟ&ⓒ 2001 Naxos/中古
  <★★★△>

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またバラダです。これじゃ誰も読んでくれないネ。

 

〈帯紹介文〉 スペインの民族音楽と所謂クラシック音楽とのおつきあい
の例は枚挙に暇がありませんが、その歴史に新たな1ページを付け加える、
バラダの思いっきり個性的な協奏的作品3曲です。バリバリの前衛風とい
うわけではなく、相当露骨に民族音楽的要素を取り込んでるのですが、
かといって陳腐な異国趣味にに堕するどころか、いまだかつてない新鮮
な音楽が生まれています。どの曲も粒ぞろいの出来栄えでそれぞれに独
奏楽器の特色が生かされていて大変面白い・・・ やはりイチオシはギタ
ーをフィーチャーしたコンチェルト・マジコでしょう。情熱的なフラメ
ンコギターと複雑に書き込まれたオーケストラパートの融合は、想像を
超えるカッコよさです。


全て世界初録音だそうです。

 

(1)いわゆる現代的なテクニックを用いたものではないですね。方法その
ものは新しくはない。けれど、お祭りっぽい細かい音がピアノソロもオケ
も積み重ね積み重ね、まるでクラスター。これが第一楽章。第二楽章は若
干不気味なエスニック風味というか、結局スペインに残った「イスラム
が匂うというか、そんなスペインのムードの一つを強調して見せてくれて
いるような感じ。第三楽章は、フラメンコやいわゆるスペインらしさをゆ
ったりと始め、何か別物に変容し始めるみたいな感じになるも、ピアノ協
奏曲に踏みとどまって、カラフルに盛り上がる。踏みとどまるって感じが

面白い。

 

(2)あまり好きなほうではないギター協奏曲ですが、大体は上記ピアノ協
奏曲と似たような印象になりそうです。
フラメンコと同時に少しおどろおどろしい感じをオケが醸す第一楽章。夜の
闇の神秘性や混沌の第二楽章。広がっていきつつある宇宙のようなサウンド
もある。長い楽章で、たくさんの楽想があって現代音楽っぽいところもちょ
ろちょろ聴かせてくれるのが、いかにもバラダ。いろんな踊りを組み合わせ
たような最終楽章は、テンポこそ速いが、第二楽章の半分の長さなのにまと
まらず、聴いているほうとしてはいささかくどく感じる。「アランフェス」
にはちょっと勝てないでしょう。

 

(3)この中では最も作曲年が新しい。
不穏な弦、キラキラ聴こえる打楽器やピアノなどに支えられて、フルートが
音程を尺八のようにずり上げたりずり下げたりなんかもする。決して日本風
じゃないけれど、スペインらしさもあまり感じない。
第一部はどこかおっとりしたふう。
第二部は(2)の終楽章同様、盛りだくさんだけれどまとまらない感じなの
で、いささかくどく感じる。でも、生だとけっこう楽しいかも。

 

全体に繊細な音作りで魅力的でした。せんだっての「三人のパブロもの」が
面白かったアルバムより、手法的に新しいというわけではないが、作曲は新
しく、それもカラフルさに関してたいそう進歩しているみたい。
どの曲もどの楽章もまとまりを欠くきらいはある(それは評価・好き嫌いの
判断材料になってしまった)ものの、民謡調と現代的イディオムや技法のア
ラベスクとでもいうようで、わかりにくさはなく、楽しい。
オケは先の「三人のパブロもの」よりはるかに引き締まっていて、それなり
に有名な指揮者(セレブリエール)のせいかもしれませんね。録音もよかっ
た。

 

・・・ ・・・

これで去年のメモ分は終了です。