休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

スカンディナヴィアの管楽五重奏曲集

20200103(了)
スカンディナヴィアの管楽五重奏曲集

(1)J.フェルンシュトレム(1897-1961):管楽五重奏曲 Op.59(1943)
  ①5:11 ②5:37 ③2:49 ④4:28
(2)J.クヴァンダール(b.1919-1999):管楽五重奏曲 Op.34(1971)
  ⑤4:53 ⑥3:35 ⑦4:24 ⑧5:05
(3)J.クヴァンダール:3つの讃美歌 Op.23b(1963)
  ⑨2:12 ⑩2:05 ⑪2:22
(4)C.ニールセン(1865-1931):管楽五重奏曲 Op.43(1922)
  ⑫9:02 ⑬4:55 ⑭2:00 ⑮10:45

  オスロ木管アンサンブル
  録音:1993年9月、オスロ、Tot.69:50
  CD/1994年/近現代/室内楽/Naxos/輸入/中古
  <★★★★△>
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                            (Cover Painting: Forest Lake by Lars Hertervig)

〈帯紹介文〉
限りない優しさと済んだ空気のような余情が香るニールセンの傑作登
場!
・現代スウェーデンを代表するフェルンシュトイムとクヴァンダール
・北欧伝統のナチュラルな響きと透明な抒情が現代的手法の中に結実
・民謡旋律を生かした「3つの讃美歌」は深い感動を秘めた逸品
デンマーク最大の作曲家、ニールセンの人気作・管楽五重奏曲


とかく見逃しがちなこうしたジャンル。
オッサンになってから聴き始めたミヨ―、フランセなどをきっかけに、時
時聴くようになりました。


金になるようならどんなジャンルにも挑戦する(ってのはちょっと言い過
ぎだが)演奏家・アレンジャーの長男夫婦に言わせれば、ワタシの好みな
んて興味はなかろうが、まあ彼らにだって好きなものはあるはず。奥方は
たぶんクラシックが中心だろうが、彼のほうは実にいろいろな音楽に手を
出しているし、奥方もそれにつきあってるからなぁ・・・。
でも正月に彼ら一家が来たときは、音楽の話なんか一回もせず、孫や犬っ
ころ中心の時間の過ごし方だった。彼らにとってみれば音楽は仕事だから
ね、仕事に関係する話はあまりしたいもんじゃないということだろう。
えー、そんなことはついでで・・・閑話休題・・・


正月何日かの朝の目ざめにかけ、気に入りました。
落ち着いた音楽。くすんで暗めで地味。

ニールセンの名以外は知りません。
最も気に入ったのはクヴァンダールの(3)。ほとんど小品と言っていい
もの。タイトルの讃美歌だというのが気に入らないっちゃ気に入らないが、
とまれ、絶品。と、これじゃ紹介文と同じになっちゃった。ミヨーの『ル
ネ王の暖炉』なんかとけっこう似たサウンドなのが利いたとは言えそう。
一聴素朴なのは民謡の旋律を使っているからなんでしょうか。でもでも、
抜群のセンスによる高級ペーソス。(ま、なんと表現していいのか素人に
はわからへんので、エエカゲンな表現ですが。)
この作曲家の没年より前に録音発売されたので、没年は載っていない。
その年はわかったものの、作曲家自身のことは詳しくはわからない。現代
音楽の祖的な人の影響を受けたとある。唯一目を引いたのはワタシが一時
よく聴いた不運の作曲家トヴェイトに師事したってこと。

ああそれと、クヴァンダールは紹介文じゃスウェーデン人みたいだけれど、
Wikiによればそれは間違いで、ノルウェー人が正しいようです。

 

どれもなかなか素敵な曲ぞろいで、じゃあ次はどれだと言っても決められ
ない。(1)も(2)もやや沈んだ調子が、とても落ち着く。朝より夜向き
かもね。クヴァンダールの(2)は、さらっと書かれた感じの(3)よりは
新しい感覚やテクニックに基づいたもののよう。
最後のニールセンの人気曲だという(4)を聴くと、前の3曲のほうがぐっ
と新しいのに、フェルンシュトレムもクヴァンダールも、ニールセンの感
覚を越える新しさはほとんど感じないから、保守的かどうかはともかく、
ともに現代音楽的じゃあないですね。結果、ニールセンはやはり有名なだ
けのことはある。引き出しの多い大作曲家だったんだという印象。

丸ごと、安らいで心地よいアルバムでした。