20191003(了)
映画『ロープ 戦場の生命線』 A PERFECT DAY
製作・監督・脚本;フェルナンド・レオン・デ・アラノア/
ベニチオ・デル・トロ/ティム・ロビンス/オルガ・キュリレンコ/
メラニー・ティエリー
2015年/スペイン映/106分/DVDレンタル
<★★★☆>
コソボを中心とした大紛争が停戦になってからの話で、「国境なき水と衛生
管理団」という団体に所属する国籍バラバラの5人の男女(と子供一人)が、
あちこちに地雷が埋まっている地帯を、‘トラブル対処隊’よろしくあっちへう
ろうろ、こっちけうろうろ、2台の車で活動する。
スタートは、井戸の中にたぶん意図的に落とされた死体があって、、これを
引き上げてくれという要請に基づく活動。しかしもう少しのところでロープ
が切れてしまうがロープの予備はなく、その辺にもロープなんてものはない、
といったことから始まる。ロープを手に入れるためにいろんなことに遭遇し、
右往左往する約一日間のことを描いている。まとまりがよく、きっと原作が
あるんだ。原題A PERFECT DAYのPERFECTはおそらく反語で、ひどい、
たいへんな一日を指しているのでしょうが、活動(成果?)としてはパーフ
ェクト(こんなもんやろ!)なのかもしれません。
人々の援助をする目的で来ている彼らだが、なんでこんなことをしているか
についてはいろいろありそう。でもそうした説明はこの映画の任じゃない。
紛争後、それこそありとあらゆることがめちゃめちゃになっている中でのこ
うした活動が、えらく地味なんだが、生半可な気持ちじゃ絶対にやっておれ
ないってことがわかるばかり。そうした、今よりちょっとでもましになれば
いいという活動のほんの一端を一つ一つストレートに描いてます。やっぱり
結局皮肉になるのね。そんな気がしました。
井戸の死体の次は、難民キャンプでトイレが壊れて大変なことになっている
ってのに向かう話をして締めくくられる。でも死体はまだ片付いてないんだ
けどな・・・、ま、それは最後のお楽しみ。
車の窓ガラスに“武装していない”とか“銃禁止”とかいう意味らしいマークが
付いてました。あれって見たことないなぁ。(日本じゃ当たり前か)
始めと終わりが地雷関係の話になっている。なのにこの映画を通じて一度
も地雷の爆発や伴いがちな凄惨なシーンはない。でも回避のための「あれ
これ」がその既定の怖さを十分に表現できていると思いました。
スペイン映画でロケ地もスペインだそうな。 詳しくはないが、バルカンに
は見えませんでしたね。スペイン・ロケのマカロニ・ウェスタンとおっつ
かっつだったんじゃないか。(ケチ付けたいわけじゃないんですけど・・・)