休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『心と体と』

f:id:kikuy1113:20190829014451j:plain

20190821(了)
映画『心と体と』

 原題:Testrol es lelekrol
 監督:イルディコー・エニェディ /アレクサンドラ・ボルベーイ
                    /ゲーザ・モルチャーニ
 2017年製作/116分/ハンガリー/DVDレンタル
 <★★★△>

輝かしい受賞歴のあるハンガリー映画だそうです。

牛の屠殺から始まる食肉工場の日常だというのだが、これはラブ・ストーリー
らしい。
左手が不自由なかなりの年配の財務部長である初老のオッサンと新任の女
性食肉検査官(30歳台前半ぐらいかな)の不思議な関係。
ある事件(性欲増進剤のようなものが、あってはいけない場所で見つかった

・・・)が起きて、捜査の一環で職員がへんてこりんな尋問を受けたことか
ら、この二人がまったく同じ状況の鹿の夢を見ていることがわかる、という
のが他にありそうな伏線そっちのけで、メインのストーリーとして転がって

行く。
夢の中で鹿として逢うことができる、なんてね、ロマンチックじゃないです
か。もちろんそれで終わるわけがないのですが。
映画の始まりからして、雪が薄目に積もった森の中で、オスの大型の鹿と、
小型の雌鹿の2頭が、どこかぎこちないものの、くつかず離れずうろついて
いるのが、何かを匂わすように描かれる。
CGなんでしょうか。SFっぽさも感じました。

食肉工場の日常なんて猛烈な残酷さなのに、ここではあまり露骨にならない
ようわりとあっさりと描かれているように思います。ま、十分残酷だけどね。
このラブ・ストーリーのようなものが、食肉工場でなきゃならない必然性は
わからなかったですが、特にこの女性のキャラが変わっていて、それとの落
差から考えられたんでしょうかね。
この女性は優れた大学を卒業しているんですが、見かけ超堅物、おそらくほ
自閉症で、他人とうまく人間関係を築けない。ところが、サヴァン症候群
でもあるようで、記憶などではとんでもない能力がある。精神科医にもかか
っているものの、いまいちはかばかしくない。
彼女に比べると、このオッサンは現在は独り身で、いたって普通。
この歳の差カップルは、カップルなんでしょうかねぇ。
面白いムードの映画だと思いました。