休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『明日に向かって笑え』

20220820(了)

映画『明日に向かって笑え』

  セバスティアン・ボレンステイン監督/リカルド・ダリン/

     ルイス・ブランドーニ/ルイス・ブランドーニ/チノ・ダリン/

     アンドレス・パラ

  2019年製作/116分/アルゼンチン/原題:La odisea de los Giles/
     DVDレンタル
  <★★★△>

<映画.com解説から> ・・・金融危機のおかげで夢も財産も奪われた小さ
な町の人々の奇想天外な復讐計画を描いた痛快ヒューマンドラマ。2001年、
アルゼンチンの寂れた田舎町。 元サッカー選手のフェルミンら住民たちは、
放置されていた農業施設を復活させるため、貯金を出し合うことに。しか
しその金を銀行に預けた翌日、金融危機で預金が凍結されてしまう。しか
もこの状況を悪用した銀行と弁護士に預金を騙し取られ、住民たちは一文

無しに。奪われた夢と財産を取り戻すべく、驚きの作戦を練る彼らだった

が・・・

 
「農協」と訳してあった施設。これを作れば町を救えるんじゃないかとい
う、けなげな計画を立てたら、案外すんなりお金が集まってしまう。救え
るかどうかだってわかりゃしないんだが、それを金融危機のどさくさで、
あろうことか、資金全てを銀行と弁護士に騙しとられてしまう。これを何
とか無い知恵を絞って取り返そうとする顛末。
アルゼンチンのお国の事情がもろに反映されているのね。
2001年8月に政府が債務不履行を宣言するという時代背景があった。
 
その弁護士、所有する農場の敷地内にジュラルミンで地下金庫(室)を作
り、騙し取った金をそこへ隠したという情報で(その中に自分たちの金が
あるはずだと思い込むのがいかにも安直なんだが)、いろいろ計画を立て、
実施の運びとなる。何せ素人の集まりなもんだから、計画段階も実施が始
まっても経過が「楽しい」。当然おかしな事態が頻発。
計画の一部に、テレビで見ていた『おしゃれ泥棒』のアイデアを頂くなん
てのもそう。警報装置を攪乱する方法。まあ、簡単に言うと、攪乱しては
戻すということを繰り返してやると、駆けつけるのがばかばかしくなり、
ついにそのバッテリーを引っこ抜いてしまう、なんてギャグまがいのこと
を気長に狙う。まだそこそこ若く見えるヘップバーンとオトゥールが美術
館で攪乱戦術を実行しているのがずばり映ってました。
 
国が債務不履行なんじゃ、農協作っても町を守れるもんだろうか。
スリランカの国の破産も、農協のような話は聞かんなぁ。そりゃあ海外ニ
ュースでも、そこまでは喋ってなんかくれないとは思うけれど・・・
カミサン、先に一人で観て面白かったと言っていた。ホンマカイナ。
なけなしの貯金だって、まず出さないだろうに。(って、シチュエーショ
ンが違うけどね)欧米物の盛り上げ方や人の反応や表情などの表現とは、
すこし違うようなのが興味深かったですね。

エノコログサ ツクツクボウシ

20220912

昨日だったか、中秋の名月スマホを向けている人を見かけました。

 

散歩中の 秋らしい写真を、と、ふたつ。

エノコログサ、もしくはアキノエノコログサ
芝生なんかのところに生えてきて、目の敵にされるイネ科の植物、
だと思う。
これは9月はじめごろ撮った。

 

これはちょっと前に真正面から撮ったツクツクボウシが、きれいに

は撮れたんだが、正面向きで芸なくつまらないので、横向きも撮り

たくなった。

昨日、たまたまグジュグジュ言ってるのがいたので・・・

それにしても、あの鳴き方の複雑さって、すごい。小鳥じゃないん

もんなぁ。

ワタシャ、人に聞かせることはしない(したこともない、恥ずかし
い!)が、子どものころから、真似をして歌うことができる。
まあそんなことはどうでもいいが、あの歌い方って、ちゃんと遺伝
子に擦り込まれて入ってるんやね。
ほぼすべての個体(もちろん)が、間違えずに歌う。
そりゃ時によっては、どの部分も、少しずつ端折るなりしていろん
なアレンジもやるけれど、邪魔されなければ完全版はみな判で押し
たように同じで、間違えない。
ああ、寿命が近づいたりすると、声がちゃんと出にくくなるし、テ
ンポも遅くなるかぁ。
歌はだいたい3つに分かれた部分からなっている。
これに比べると、クマゼミ、ヒグラシ、ミンミンゼミ、アブラゼミ
ニイニイゼミハルゼミなど、この辺のセミ仲間の鳴き声なんて、
難しさなんか全然ない。
なんでツクツクのだけこんなに難しいんだ?
この写真の奴は、古墳公園の急坂の途中にあるでかい桜の樹にいて、
ワタシと犬ころが通りかかる直前までは、3部のうちの第1部(グ
ジュジュジュジュ)を歌っていたんだが、第1部を短くするどころ
か、途中で歌いやめてしまった。そろり写真を撮っている間、いて

くれたけど、バシャ!の音の直後には飛び去ってしまった。一応撮

れてました。

 

なんてね、ヤボな文章・・・

ヤマボウシの実、今年はカミサンが間引いたせいか、皆実がデカイ。

もう数個食べました。見かけは中身も外もいたってヨロシクナイけ

れど、美味い。やっぱりデカイほうがいいですねぇ。

ライブ・アット・ジャズ・アレイ /モンゴ・サンタマリア

20220808(了)

ライブ・アット・ジャズ・アレイ

                          モンゴ・サンタマリア

 ①ホーム 6:00       ②ボニータ 4:39  ③フィラデルフィア 5:57
 ④パラ・ティ 5:54     ⑤マンテカ 6:47  ⑥PONCE 6:51
 ⑦コーメ・カンデラ 5:20  ⑧イビアーノ 4:55 ⑨フアン・ホセ 5:22
 ⑩アフロ・ブルー 10:31
 
 録音; 1990年3月、シアトル、Dimitriou's Jazz Alley
 CD/1990年/ラテンジャズ/キングレコード//Ⓟ&ⓒ 1990 Concord/輸入/中古
  <★★★☆>

学生時代にジャズ喫茶でモンゴ・サンタマリアは時々かかりましたね。なん
でこんなのかけるんだ!なんて思ったもんでした。親しみやすくて覚えやす
くて、本心じゃ嫌っていたわけじゃないのですが、こんなもん、ジャズやな
い!という雰囲気でね。つまり、学生たちは概して難しいジャズを聴かなき
イカンのだ、みたいな雰囲気。だからモンゴやジャズ・クルセダーズなん
かがかかると、またかかってら、なんて舌打ちまがいのフリをしていた。そ
れは見せないようにはしていましたがね。実は喫茶店のオーナーがコンガ奏
者だったからなのでした。
まぁ、ワタシには通過儀礼みたいなものだったんでしょう。
オッサンになってからはラテン系のものはたいがい好きになってしまいまし
た。何故なのかな。若いうちにサンバ、ボサノヴァに親しんだのが、すこし
「遡らせてくれた」のでしょうか。
 
学生時代に、モンゴのいいアルバムを聴いたはずなのですが、ちゃんと探し
たことはなく、その後見つけた2-3枚は面白くなかった。だから、しばら
く放置してましたが、これを見つけて、懲りずに聴いてみる気になった。
これは1990年のライブなんだから、学生時代に聴けたはずがない。これも探
したものとは違う。
でも見ればベストアルバムみたいなもののようなので、ま、いいかぁ。
 
大分大御所ふうになっておられるみたいだけれど、この時点ではまだまだ元
気いっぱい。いや、楽しいアルバムでしたよ。
ほとんどがご本人の作曲のよう。知っている曲がいつくもある。このジャン
ルでもジャズでもスタンダードになっているものが多いんだね、きっと。
 
サルサが中心で、そのジャンルなら同じくジャズ系のアレンジも多いティト
・プエンテやポンチョ・サンチェス(いずれもコンガ奏者兼バンド・リーダ
ー)なら大分聴いていて、ダブります。どちらも大好きで、レベルは三者
もワタシには似通った感じ。
サルサそのものでないのは、例えば⑧。あくまでジャズ・フュージョン系の
アレンジを施し、その上でサルサっぽい打楽器を加えてみた、という作りに
している。とても洗練されている。でも実はモンゴの曲、、、
一方、違うほうに振れているのが、⑩の前半。完全に黒いアフリカを思わせ
る音楽を入れ込んでいる。このタイプの曲ないしアレンジは、ポンチョもテ
ィトもやっているのは聴いたことがない。二人ともアフリカ系ではなく、モ
ンゴのみはルーツをはっきりアフリカに持っているのかもしれない。とにか
くこの「アフリカ音楽」が特色というか異色というか。
モンゴのこのタイプの曲が半分ぐらい入っているアフリカを強調した2枚組
CDアルバムを聴いたことがあって、実はワタシ、これがたいそうきつかった。
何故か聴き続けるのが難しかった。好きな中南米音楽ではなくなっちまった。
このライブアルバムでは少ししか入っていなかったのが幸いしました。ほと
んど「ベストアルバム」みたい。
決して「悪くない」評価になりました。★4つでもよかったかな。

 

あのジャズ喫茶店、街もすっかり変わって、さすがにもうなくなっただろうな。
懐かしいです。

京都にもあるらしい町名と同じ名前の商店街の狭い裏通りにありました。

おっと、ネットで見ると、まだあるんですねぇ、びっくり。

映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』

20220810(了)

映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』

 アナス・トーマス・イェンセン監督//マッツ・ミケルセン/ニコライ・リー・カース/
                  ラーシュ・ブリグマン
 2020年製作/116分/デンマーク・スウェーデン・フィンランド合作/
 原題:Retfaerdighedens ryttere/DVDレンタル
  <★★★△>

またデンマーク語です、多分。慣れた?せいか、なんだかいいですねぇ。
アメリカ映画だと、まず間違いなくお約束事のように笑わせるところ、妙に生
真面目なんで、どうなんですかねぇ、、、ギャグっぽくやってもカマヘンかっ
たような気ぃもします。
 
お話は、いっけんよくありそうな復讐もの。実はさにあらず。
場所はデンマークかと思ったが、確か、エストニアのタリンといった気がしま
す。
 タリンというと、NHKBSプレミアムで「駅ピアノ」という番組が、とっか
 えひっかえ再放送されていまして、その中にタリンの回があった。同じもの
 を何度か観てしまっています。その中でタリンの回でもってピアノを弾いて
 は去っていく人たちの音楽のレベルの高さに仰天。駅ピアノ、空港ピアノ、
 街角ピアノなどなど、知らず知らずのうちに随分いろんな国のを観ましたが、
 この回がワタシには最高でした。
 このごろあまり観ない。新シリーズ観てみたいね。 ハイ、脱線・・・
 
はじめは青い自転車が話題になり、盗まれる。
何か企業相手にデータ分析を請け負って、面白いが請負内容にはそぐわないト
ンチンカンな分析をやらかして、おっぽり出される二人組。(あとで3人組に
なる)
初めに青い自転車を盗まれた(地元に住む)母娘。離れて砂漠地帯(どこかわ
からなかった)で軍隊生活中のいささか精神的に追い詰められ状態の夫。
解説じゃあアフガニスタンと書いてあった。そうなんだ・・・タリバンの女性
政策がひどいとか、アルカイダとの結びつきがいまだにあるとか、、、一応ニ

ュースは知っていますが、デンマーク軍は、ここにはもういないでしょ? 脱

線・・・

 
この二組が、地下鉄の事故で交錯する。二人組の一人がこの母娘の母親にたま
たま席を譲ったところ、母親が事故の流れで亡くなってしまう。元々はそこに
他の人間が坐っているはずだったというようなことが問題になる。
知らせを受けた夫が戦場から戻って来る。この事故に疑問を抱いた二人組が、
取り合わない警察に業を煮やし、この戦士に進言に及び、お話は転がり始めて
しまう・・・
他に出てくるのは、二人組の知り合いでインターネットのプロのでぶちゃん。
父と折り合いが悪い娘のボーイフレンド。やくざのグループ。その中の一人
(?)にセックスの青手をさせられていた「男」(ウクライナ人)。
こんなところですね。
 
復讐譚は復讐譚なんですが、ストレートには進まない。というか、偶然が生
んでしまった悲劇がへんなねじれ方をするお話。
この兵士と各人との関係性が、強引ながら面白い。特に娘以外のへんてこり
んな理系3人組との。
中心には、お約束事のように、この兵士と娘の関係が据えられていいますけ
どね。
そしてエンディングはほとんど幻想譚に見えちゃった。偶然性を強く意識さ
せるので、それとのバランス上、そう見せるしかなかったのかも。
はじめの青い自転車の話は、忘れずに回収されていました。
 
二人組(あとで3人組)の片方は、メガネと髭でわかりにくいが、「特捜部
Q」シリーズの陰気な主役ニコライ・リー・カースだと判明。ワタシはカミ
サンの顔認識ソフトをよくバカにするが、実はワタシのだってたいしたこと
はない。マッツ・ミケルセンの兵士/軍人はピッタリ。冷静沈着そうだが、悲
しいかな、すぐ切れてしまう。一度も笑顔を見せないで、柔らかい表情から
憤怒の形相まで感じさせてくれる。
観るほうが勝手に想像してしまうだけ(人間には普通に備わっている傾向)な
んだろう。犬っころも飼い主の顔を見てたいがい似たような読みをしている。
とても騙しやすい。と、また脱線。
それとも、彼など、なにかテクニックのようなものがあるんでしょうかねぇ。

自動小銃の音が妙にリアルに聞こえました。今はみんなあんなものなんでし

ょう。

 

音楽がらみの扱いが受けたか、デンマークじゃあ音楽の賞も獲ったそうだが、

ワタシには、何がいいんだかまるでわらなかった。

ルーセル : 管弦楽作品集 2&3/3

20220804(メモ了)

ルーセル管弦楽作品集  2&3/3

Albert ROUSSEL(1869-1937)

      /ŒUVRES POUR ORCHESTRE

(CD2)
〈3〉バレエ《エネアス》 Op.54(1935)
   ①-⑬ 39:39
〈4〉組曲  Op.39
   ⑭-⑯ 13:07
(CD3)
〈5〉バレエ《くもの饗宴》 Op.17(1913)
   ①-⑬ 31:43
〈6〉交響曲 第2番 変ロ長調 Op.23(1919-21)
   ⑭-⑯ 39:21
 
  ジャン・マルティノン指揮
  フランス国立放送管弦楽団/フランス国立放送合唱団(バレエ〈エアネス〉)
  録音:〈1〉〈2〉〈3〉〈6〉1969年12月、〈4〉〈5〉1971年1月
      ラジオ・フランス 103スタジオ
  (3)(5)<★★★★>、そのほかは<★★★☆> 

(CD2)

(3)『エネアス』

その昔、ローマを築いた英雄的な男の話で、単純な物語だけど、バレのくせ
してコーラスが入るし、途中で切りにくいし、主題などがいかにも地味。し
かも書かれたときにはナチスの台頭で中身の具合が悪かった。
人気の交響曲第3番と地味で人気の乏しい第4番との関係が、それぞれの交
響曲のすぐ後に書かれた有名な『バッカスとアリアーヌ』と当『エネアス』
との関係に、上に並べた理由によって、そっくりで、人気がないんだって。
交響曲第4番はそれなりに知られてるけどね、『エネアス』は一旦はほとん
ど忘れ去られてしまった・・・ フーン・・・
 
確かにコーラスがあっては演奏上ハンデだろうが、バレエ音楽『ダフニスと
クロエ』だって合唱がはいるんだし、特色でもあるわけだしなぁ、、、主題
が地味でもサウンドは、往々物々しい『バッカス―』よりニュアンス豊かで
魅力的なところがいろいろある。『バッカス―』がちょうど半分で切って、
後半を第2組曲と称して演奏会に頻繁にかけられるのに負けている、なんて

のは、ねぇ、前半の第一組曲の魅力が乏しいからなんじゃないか?(それは

ないですけどね)

いろいろ割を食った形の曲のようで、もともと知らなかった曲だから、比較
に拘る必要はさらさらないんだが、結果的には較べてしまいましたね・・・
初演時『バッカス―』は、『ダフニスとクロエ』(ラヴェルの大傑作)をつ
いに超えた!なんて評されたと紹介されてます。それはないですけどねぇ、
そんな評のこと、初めて知りました。
 
この録音はなかなか貴重なんだそうで、演奏もすばらしいという評。演奏の
ほうはいまいちわからないけれど、曲は『バッカス―』には決して負けてい
ないと思います。いや好みとしては、こっちの方がいい、かな。バレエ音楽
にコーラスも、なかなかフィットしてます。
 

(4)小組曲

小さい傑作と評され、『くもの饗宴』に近いんだって。(何に近い?)

喜遊曲風なつくりだけれど、とても魅惑的な第2部以外は、案外バレエっぽ
く聞こえますね。第一部の三拍子なんざスペイン舞曲ふう。(パソドブレ
ま、普通はCDやYouTubeでないと聴くことはできない楽曲でしょう。
 

(CD3)

(5)好きな《くもの饗宴》、すこしイメージが変わりました。これまでにラ

ヴェルの演奏などで触れているクリュイタンス指揮、パリ音楽院管弦楽団
演奏で親しんで覚えた曲。このマルティノン盤を聴くと、クリュイタンス盤の
ほうは、録音も演奏もむしろ個性的だったようで、ドラマ性よりは雰囲気を重
視した演出や音作りをしたんじゃないかなぁ。それに対して、マルティノンは

楽譜重視、誇張を避けたノーマルな調子。これまでにマルティノンについて何

度か書いてきた通りです。

いろんな演奏で聴いてきたわけではないので、始めはへぇー・・・。 

バッカスとアリアーヌ」の印象と基本的には同じ感じ。ストレートでドラマ

を強く感じる。

クリュイタンス盤だと、例えば捕われ食われる虫に同情的な感性が働かされる
感じで、透明度が意外に乏しかったのが、マルティノン盤では弱肉強食の食物
連鎖なのだというの割きりがあるかのよう。音も暖かいというよりはすっきり
としている。そして決して冷たくはない。
 
出だしと締めくくりは、素敵なメロディとともに、ラヴェルっぽい美しい音色
ですが、間の②から⑮までは様々な表情やドラマを聴かせてくれ、しっかり引
っ張られる。でもまあ、印象派と言えば印象派ですよね。リズムは「バッカス
とアリアーヌ」のところでも触れたように重い。ややこしいリズムはほとんど
使わないみたい。
 

(6)一曲だけ入っている交響曲第2番。 3番、4番は名曲だといわれるが、

ま、いつか聴き直すことにして、、、2番、一筋縄ではいかない作品。

解説では、当時の聴衆にとっては、《くもの饗宴》の作曲者の作品なのであ
って、だからこの交響曲は難しかった。それがために作曲者は各楽章に簡単
なプログラムを付した。(面白くないので、付しません)
どうも、《くもの饗宴》の聴衆には難しかったというのがよくわからない。
ワタシの感覚では、バレエ《くもの饗宴》の延長線上にある感じ。けっこう
複雑な和声が多く出てくるようではあるものの、第1楽章など曲想も多く退
屈するどころでない。踊るような第2楽章を経て、第3楽章では、第一楽章
に似たいろいろな曲調を若干暗めに回収してゆく感じ。
でも・・・重たるくても、やっぱりどこかバレエ音楽的な気がしてしまうな
ぁ。そしてもうひとつ、音のぶ厚さとロマン派系、ということで、言わばど
こか「フランスの後期ロマン派」、みたいな感もある。

さあ、3枚聴き終えました。
この作曲家、好きかなぁ、そうじゃない気がするのです。
音楽の密度が濃いのはいいのだけれど、それゆえか、重たるい感じがつき
まとうことが多い。それがどうも好みでない。それはわかったが、最終決
定でもない。音の厚ぼったくない室内楽は印象がいいのです。

何か選ぼうと思っています。(ああ、交響曲も忘れないようにして・・・)

 

追加しておきます。クリュイタンス指揮/パリ音楽院管弦楽団 のLPが

残してありましたので。考えてみると、蜘蛛がイラストなのはともかく、

この虫の集め方、ちょっと変わったものだったんですね。

映画『モロッコ、彼女たちの朝』

20220803(了)

映画『モロッコ、彼女たちの朝』

 監督・脚本:マリアム・トゥザニ//ニスリン・エラディ/ルブナ・アザバル
 2019年製作/101分/モロッコ・仏・ベルギー合作/原題:Adam/DVDレンタル
 <★★★★>

イスラムの世界では大なり小なり、こうした女性の地位の低さが問題になって
いるだろうことは、知識としては一応持っているんだけれど、国によっての程
度の差はあるらしく、ここモロッコでは非常に厳しいとのこと。
 
カサブランカの街を、臨月を迎えている未婚女性サミアが仕事を求めて彷徨っ
ている。一方、夫に先立たれた母娘がつましくパン屋を営んでいるが、特に母
親のほう、アブラは心を閉ざしがちで、寂しさを乗り越えられない。
それでも、サミアの窮状を見かねたアブラが助け舟を出してしまい、パン作り
などを通じて両者の濃密な人情劇が繰り広げられる。
 
お互いに助け合うことになるいきさつは、いかにも優しい心根の表われながら、
外では全く通用しないことなのね。
ロッコじゃあ、未婚の妊婦という状態は、逮捕されていないだけの犯罪者だ
ものだから、当然それだけで禁忌。病院で産もうものなら警察が飛んでくる。
よってそんな妊婦を助けるなんてことも、そもそもダメ。
じゃあ放っておいていいのか。たぶんいいんだろうな。
 
サミアの考えは、なんとか生み落とし、すぐに養子縁組してもらい(そういう
システムみたいなものが多分裏にはあるんだろう)、ぺしゃんこの腹に戻って、
なにくわぬ顔をして実家に帰るという計画。
 
サミアとアブラ母娘の関係が濃くなっていくのが素敵なんだけれど、さて、つ
いに(祭りの直前にだったか)生まれてしまう。
サミアの決心はかなり固いものなんだが、素敵な母娘に接し続けていたことも
大きく、生まれてしまったことで、理性と母性の谷間の深さはえらいものにな
って行き、葛藤が延々描かれる。ドキッとするシーンもある。
さて、祭りが終った朝には、サミアはどうすることになるんだろうか・・・
 
この映画、モロッコ社会を動かす力になればいいと思いますが、そりゃ希望で
あって、近々に実現するはずもない。人間、無駄に苦労してしまっているよう
で、つらくなっちゃいますねぇ。

ここに出てきたわけじゃないんだが・・・ヒジャブを付けて競泳しているのも
インパクト(唖然とする!ブルカやニカブじゃ、そもそも競泳はありえない)
がありましたが、あれかぶって宇宙船に乗る図ともなると、やっぱり想像しに
くい。ええい、ついでに、、、

 

最近、どこかの中学だったかな、男女共通の水泳着が開発され、少なくない学
校が採用したとか。その水着の写真が載っていた。紺色みたいだったが、色は
モノクロ写真だったので不明。当然ながら、男子も上半身に着けている。
なんだか泳ぎにくそう!で、思い出した。ハイ、いつもの脱線。

 

(付記)
確かにフェルメールの絵のような色合いと構図が出て来ました。意図的なんで
しょうねぇ。
解説のどこかにはカラヴァッジョの名まで出てきました。好きな画家二人もだ
なんて、ホンマかいな。ただ、カラヴァッジョについちゃあ、あの陰影を連想
するようなシーンは、なかったと思う。

ルーセル : 管弦楽作品集 1/3

20220804(メモ了)

ルーセル管弦楽作品集 1/3

Albert ROUSSEL(1869-1937)

      /ŒUVRES POUR ORCHESTRE

(CD1)
〈1〉バレエ「バッカスとアリアーヌ」 0p.43(1930) 35:57
   第1組曲 ①-⑥ 16:50
   第2組曲 ⑦-⑯ 19:07
〈2〉交響詩《春の祭のために》 Op.22 ⑯(1920)    11:38

 

  ジャン・マルティノン指揮
  フランス国立放送管弦楽団/フランス国立放送合唱団(バレエ〈エアネス〉)
  録音:〈1〉〈2〉〈3〉〈6〉1969年12月、〈4〉〈5〉1971年1月
      ラジオ・フランス 103スタジオ
  〈3〉〈5〉<★★★★>、そのほかは<★★★☆> 

フランス音楽としてはちょっと珍しい厚み、重みのある音作り・・・

ルーセル聴くのはけっこう久しぶりです。何か室内楽を聴いた。それ以来で、

一体どれくらいたったんだろう。10年? ワカラヘン。
ここで聴いたことがあるのは、有名な2曲、「バッカスとアリアーヌ」と
「くもの饗宴」だけだと思います。交響曲もいくつか聴いているはずですが、

好きだと思えた記憶はない。2番は聴いたかどうか、、、。いつかまとめて

聴きましょう。

さてさて、、、楽しめますように。
 
フランス人の解説が実にまだるっこしく、理屈っぽいようで実は知識のひけ
らかしのようにしか思えない。(翻訳がまたよろしくない!)
誰から影響を受けたか、などは一応わかった。それだけ。
 

(CD1)

〈1〉バッカスとアリアーヌ」 このバレエ音楽ルーセルの最も有名な

曲なんでしょう。ワタシなら「くもの饗宴」でしょうか。
その「くもの饗宴」の時にも書くでしょうが、熱心に聴いてこなかったルー
セルを最も聴いたのがアンドレ・クリュイタンス指揮/パリ音楽院管の録音
で、今思えば、この録音(LP)の「バッカスとアリアーヌ」は第2組曲だっ
たんだった。それで今回のものが長いと感じたんですな。いかに長いこと聴
いてなかったかってこと。
でね、これ、すばらしい演奏だと思いました。仄暗くもきびきびとした強靭
なリズムが甘味の少ないドラマ性をすっごく引き立ててる。記憶ではクリュ
イタンスのは、音の録り方の問題もあったんだろうけれど、くっきりしなか
ったんだよなぁ、確か。ほんとはね、録音についちゃあこのマルティノン盤
にも不満はあるんだけど。
 
解説者の文章のうち、リズムの大事さについては一応理解。なんといっても
バレエなんだし。
でもそのリズムが重たいのね。ストーリーもギリシャ神話の途中からは結局
よくわからない。でもそれでいいのかもしれない。だいたいが低弦や太い金
管を多く使い、キレがあまりなく、いわば重たるい。そういう狙いなんだろ
うと思う。
 

〈2〉「春の祭りのために」 印象派ふうな一篇、と言いそうになるけれど、

だんだん本領発揮。春を待つといっても、そんなに甘さはない。目指した新

古典派の作曲なのかどうかは、ワタシにゃわかりません。でもいい雰囲気、

あえて言えば、濃い。

春もいろいろ。〈6〉の不思議な交響曲第2番の作品番号の隣というか、直

前ですね。解説によれば、当初は交響曲第2番の第一楽章として構想された

が、そうはしなかった。

 

ここで切って、2枚目、3枚目は後日にします。