休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

スカンディナヴィアの管楽五重奏曲集

20200103(了)
スカンディナヴィアの管楽五重奏曲集

(1)J.フェルンシュトレム(1897-1961):管楽五重奏曲 Op.59(1943)
  ①5:11 ②5:37 ③2:49 ④4:28
(2)J.クヴァンダール(b.1919-1999):管楽五重奏曲 Op.34(1971)
  ⑤4:53 ⑥3:35 ⑦4:24 ⑧5:05
(3)J.クヴァンダール:3つの讃美歌 Op.23b(1963)
  ⑨2:12 ⑩2:05 ⑪2:22
(4)C.ニールセン(1865-1931):管楽五重奏曲 Op.43(1922)
  ⑫9:02 ⑬4:55 ⑭2:00 ⑮10:45

  オスロ木管アンサンブル
  録音:1993年9月、オスロ、Tot.69:50
  CD/1994年/近現代/室内楽/Naxos/輸入/中古
  <★★★★△>
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                            (Cover Painting: Forest Lake by Lars Hertervig)

〈帯紹介文〉
限りない優しさと済んだ空気のような余情が香るニールセンの傑作登
場!
・現代スウェーデンを代表するフェルンシュトイムとクヴァンダール
・北欧伝統のナチュラルな響きと透明な抒情が現代的手法の中に結実
・民謡旋律を生かした「3つの讃美歌」は深い感動を秘めた逸品
デンマーク最大の作曲家、ニールセンの人気作・管楽五重奏曲


とかく見逃しがちなこうしたジャンル。
オッサンになってから聴き始めたミヨ―、フランセなどをきっかけに、時
時聴くようになりました。


金になるようならどんなジャンルにも挑戦する(ってのはちょっと言い過
ぎだが)演奏家・アレンジャーの長男夫婦に言わせれば、ワタシの好みな
んて興味はなかろうが、まあ彼らにだって好きなものはあるはず。奥方は
たぶんクラシックが中心だろうが、彼のほうは実にいろいろな音楽に手を
出しているし、奥方もそれにつきあってるからなぁ・・・。
でも正月に彼ら一家が来たときは、音楽の話なんか一回もせず、孫や犬っ
ころ中心の時間の過ごし方だった。彼らにとってみれば音楽は仕事だから
ね、仕事に関係する話はあまりしたいもんじゃないということだろう。
えー、そんなことはついでで・・・閑話休題・・・


正月何日かの朝の目ざめにかけ、気に入りました。
落ち着いた音楽。くすんで暗めで地味。

ニールセンの名以外は知りません。
最も気に入ったのはクヴァンダールの(3)。ほとんど小品と言っていい
もの。タイトルの讃美歌だというのが気に入らないっちゃ気に入らないが、
とまれ、絶品。と、これじゃ紹介文と同じになっちゃった。ミヨーの『ル
ネ王の暖炉』なんかとけっこう似たサウンドなのが利いたとは言えそう。
一聴素朴なのは民謡の旋律を使っているからなんでしょうか。でもでも、
抜群のセンスによる高級ペーソス。(ま、なんと表現していいのか素人に
はわからへんので、エエカゲンな表現ですが。)
この作曲家の没年より前に録音発売されたので、没年は載っていない。
その年はわかったものの、作曲家自身のことは詳しくはわからない。現代
音楽の祖的な人の影響を受けたとある。唯一目を引いたのはワタシが一時
よく聴いた不運の作曲家トヴェイトに師事したってこと。

ああそれと、クヴァンダールは紹介文じゃスウェーデン人みたいだけれど、
Wikiによればそれは間違いで、ノルウェー人が正しいようです。

 

どれもなかなか素敵な曲ぞろいで、じゃあ次はどれだと言っても決められ
ない。(1)も(2)もやや沈んだ調子が、とても落ち着く。朝より夜向き
かもね。クヴァンダールの(2)は、さらっと書かれた感じの(3)よりは
新しい感覚やテクニックに基づいたもののよう。
最後のニールセンの人気曲だという(4)を聴くと、前の3曲のほうがぐっ
と新しいのに、フェルンシュトレムもクヴァンダールも、ニールセンの感
覚を越える新しさはほとんど感じないから、保守的かどうかはともかく、
ともに現代音楽的じゃあないですね。結果、ニールセンはやはり有名なだ
けのことはある。引き出しの多い大作曲家だったんだという印象。

丸ごと、安らいで心地よいアルバムでした。

 

イランのホラー

20191224(了)
映画『アンダー・ザ・シャドウ 影の魔物』

 監督;ババク・アンバリ//ナルゲス・ラシディ
 2018年製作/84分/イギリス・ヨルダン・カタールイラク合作
 原題:Under the Shadow
 <★★☆>

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〈映画.com解説から〉 戦時下のイランを舞台に、不発弾とともにやって
来た「何か」に脅かされる母娘の恐怖を描いた不条理ホラー。1988年、イ
ラン・イラク戦争下の首都テヘラン。若き母親シデーは幼い娘ドルサとと
もに、最前線に招集された医師の夫の帰りを待つことに。ある日、母娘が
暮らすアパートの隣人が引き取った孤児メフディが、アパート内に邪悪な
神「ジン」がやって来たと言い始める。ドルサもジンの存在を主張し、徐
j徐に奇妙な行動を取るように。戦争の激化に伴い住人たちが次々と疎開
ていく中、ついに母娘だけになったアパートを「何か」が襲う・・・

 

イラン・イラク戦争時という設定がふるっている。
製作に英国以外ではヨルダン、カタールイラクなんて国々の名があるの
で、政治的には関係がないところで製作できたんでしょうか。それと当然

なのかもしれませんが、イランが製作国に入っていない・・・

 

医者の卵だった若い母親シデーがなかなか超常的現象を認めず常識的リア
リズムに拘り続けて、見る側を焦らしイラつかせる方法なんか、かなり古
臭い。なのに、このジャンルでオスカーの外国語映画賞候補になったなん
てのはめでたい。でもねぇ、マイナス点が多くって・・・


「何か」が判明しなくてもいいんだけれど、上の階にひっかかってだんだ

ん落ちてくるミサイルと「何か」を関連付けることはとてもじゃないがで

きそうにないのに、確かに映画はそうしているみたいであること。また、

彼女が医者になる道を拒まれている状態であることが、そもそもの始まり

に描かれ、いったいどういうふうにストーリーに絡むのだろうと思ったん

だけど、回収されずじまいだったこと・・・ てなことを皮切りに、言い

たいことがごっちゃり。
メモしましたが、ま、省略、です。

 

テヘランが舞台なのに、エスニック風味はあまり感じられなかった。爆撃
さえなければ、舞台が英国でも米国でもかまわなかった気もします。
深読みできるんでしょうか。ワタシには、オスカーの外国語映画賞候補の

理由だとか必然性だとかも感じられなかったですね。それともやっぱり何

かメッセージがあったんでしょうか。(ま、この賞は順繰りっぽいので、

あまり気にする必要はないっちゃないですけど)

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*ドローンでもってピンポイントでイランの英雄司令官を抹殺したんです
から、俄然不穏なイラン情勢です。ニュース時はすわ戦争かと思いました。
トランプさん、根回しが早かった・・・でも、各国の平静さ、意外です。

報復合戦の可能性は低くないですが、起きないでほしい。まだわかりませ

ん。

金委員長の防弾用着衣はさらに分厚くなるんじゃないかと言う人がいて、

不謹慎かもしれないが、職場の雑談は盛り上がってしまいました。

お墓のこと

記事は去年のものです。

96歳にもなって、このところ旺盛に老婆心を発揮しているオフクロ。

いろいろありまして・・・

そこで連想ふうに思い出した?のが去年の多和田葉子さんの墓の記事。

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ワタシは墓なんかどうでもいい、ブン撒いてくれればOKなんだが、そう
もいかないのが社会やそのルール。

ちなみにオフクロは、記事にある納骨用の壁に掘った穴に似たイメージも

ある、お墓のアパートのようなところに入るつもり。親父が先に入ってい

る。
手書きの遺書でそう書いてあれば、海に撒くのも可能だというのがドイツ。

おおイイネと思いかけたところ、実は撒くんじゃなくて、溶ける壺に入れ

て決まったところに沈める・・・ なんだヨ。
でもドイツ人にはほかにもいろいろ意外な面があるんやね。

ジャンヌ・マメンという画家は知りません。

 

 

(付録)

ののちゃん、切り抜いていた分・・・

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 ワタクシメ、この冬はまだ股引をはいていません。

サルド/コルノー 2題

20191222(了)
サントラ『武器の選択』『フォート・サガン
  フィリップ・サルドアラン・コルノー


(1)LE CHOIX DES ARMES『武器の選択』
  ①~⑨
  作曲:フィリップ・サルド、指揮:ピーター・ナイト、ロンドン交響楽団
  ロン・カーター、バスター・ウィリアムズ(ベース)
(2)Fort Saganne『フォート・サガン
  ⑩~㉒
  作曲:フィリップ・サルド、指揮:カルロ・サヴィーナ、ロンドン交響楽団
  Xavier Gagnepain(チェロ)

  CD/2001/映画音楽/ユニヴァーサル/輸入/中古
  <★★★☆~★★★★>

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(1)サントラ『武器の選択』(映画日本未公開)
〈すばらしき映画音楽作曲家たち〉から; ・・・1981年製作の犯罪ドラマ。
引退したギャング(モンタン)とならず者(ドパルデュー)の対立を描く。
共演はカトリーヌ・ドヌーヴ他。サルドの音楽は、シンフォニック・スコア
にジャズの味付けをした極めて上質なもので、彼のベスト・スコアの1つだ
と思う。ロン・カーターバスター・ウィリアムスによるベースのソロにロ
ンドン・シンフォニーによる繊細かつ濃厚な音が重なり、複雑でドラマティ

ックな展開を見せる・・・

 

良くも悪くもベース2本を中心にした楽曲という印象。
ジャズベーシストの二人、どちらがどちらなんてわからないが、まあリード
しているのが名ベーシストのカーターでしょう。バスター・ウィリアムズと
いうと、たしか(ジャズ)クルセイダーズのベーシストだったひと?(そう
でした)オーケストラのほうはクラシカルで実にすばらしい。ラヴェル、ド
ビュッシー、ルーセルなんかを連想させる。特にラヴェルですかね。例えば
「ラ・ヴァルス」。なんだけれど、とにかくこのベース2本をメロディ楽器
として聴かせたくてという内容。ほとんどはピチカートなんだけどね、はじ
めと終わりのほうでほんの少しアルコ(弓で弾く)があって、その部分はま

るでイケマセンでした。

 

もう一押し。蛇足です・・・
こんなこと言っていいものかどうか憚られなくもないのですが、これほどま
でに複雑繊細なオーケストレーションが果たして映画に必要なんでしょうか。
クラシカルなんて生半可な表現では失礼なほどです。
2本のベースはそれなりで、名手二人には申し訳ないが、もっと正確なら、
点数はもっと上がったでしょう。
ともあれ管弦楽。ここまですごいのはほとんど記憶にありません。例えば
1967年のソ連版の「戦争と平和」(ボンダルチュク/音楽はオフチンニコ
フ)のオーケストレーションが、サントラ音源こそよくなかったが、もの
すごい〝情報量〟だった記憶がありますが、ワタシのチャチな記憶ではそ
れぐらいしか思い出せない。


(2)サントラ『フォート・サガン
〈すばらしき映画音楽作曲家たち〉から; 1984年製作のフランス映画。
第一次大戦前のサハラ砂漠を舞台に青年士官シャルル・サガン(ドパル
デュー)の活躍を描くドラマ。監督は「真夜中の刑事」等のアラン・コル
ノー。共演はソフィー・マルソーカトリーヌ・ドヌーヴ、フィリップ・
ノワレ…他。ルイ・ガルデルの原作小説をアンリ・ドゥ・トゥルンヌとガ
ルデル自身、監督のコルノーが脚色。撮影はブルーノ・ニュイッテンが担
当。フィリップ・サルドは、コルノー監督と「武器の選択」という犯罪ド
ラマでも組んでおり、こちらもロンドン交響楽団の演奏による極めて上質
なシンフォニック・スコアだったが、この「フォート・サガン」は更に深
遠かつスケールの大きいドラマティック・スコア。砂漠の神秘性を想起さ
せる繊細で美しいメインテーマが特に印象深い。サルドは初期の「すぎ去
りし日の・・・」「夕なぎ」「ひきしお」「離愁」といったスコアも素晴
らしいが、80年代に「武器の選択」「フォート・サガン」「ギャルソン!」

等に優れた映画音楽を提供していた時期が1つのピークだったように思う

・・・

 

(1)のベースに代わって、こちらのソロ楽器はチェロ。上記のベースほど
は出てこない。(1)とはまるで違って、チェロとオケの掛け合いには不自
然さがない。チェロ協奏曲をたくさん聴いて慣れているからだろう?と言わ
れるかもしれないが、そうじゃない。音程の正確性がまるで違う。

(なにもワタシが言い訳することもない・・・)
さて、こっちのほうの管弦楽曲は、フランスっぽさは乏しい、というか、ヨ
ーロッパらしさはあるが、どこの国というようなものはない。ミリタリータ
ッチが少々、エスニックさもほんの少々、といってもサハラ砂漠のイメージ
も実はない感じ。でも音作りはたいそう繊細で凝っていて、クラシカルでは
ある。敢えて言うなら、言語矛盾風ですが、幸せそうなマーラーかな・・・
最後は天に召されていくみたい、フォーレデュリュフレの「レクイエム」
の美しい箇所、あるいはサン=サーンスのSym.3の緩徐楽章なんかを連想させ
る。てことはフランスっぽさは乏しいなんて書いたくせに、やっぱりフラン
スかい?

 

ジャケット写真からして「フォート」はドイツ語なら「―フルト」、つまり

「砦」ぐらいの意味で、「サガンさんの砦」かな。

 

監督も認めて使ったんだからそれでいいのですが、ワタシの意見は、この2
つの作曲は、案外それぞれの映画とひょっとすると、あまり合ってないんじ
ゃないかということ。両曲ともオーケストレーションも曲調もすごく素敵な
んだが、とんでもなく凝った作りなもので、やり過ぎなんじゃないかと思っ
てしまう。かのジョン・ウィリアムズだって、ここまで凝ったスコアにはし
ていないと思う・・・ なんてね。映画のほうを全く知らないくせに、合っ
てないというのは申し訳ない。言い過ぎですよね。それはわかっているつも
りなのです、そう思わせてしまうほどなんだということ。

(2)など、ホントにこんなに優しい映画なの? (そうなのかもしれません

ネ)

 

*テレビが壊れてしまいました。

映画『孤独なふりした世界で』

あけましておめでとうございます。

この正月、最後にやってくることになる娘が着く前に、最初のアップを
しておきます。神戸で事故渋滞だとか・・・
31日から2日まで、今日来た新聞では大事故、大事件はなかったようで
すね。
ワタシは珍しや、風邪気味です。

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20191219(了)
映画『孤独なふりした世界で』
  原題:I Think We're Alone Now
  監督;リード・モラーノ//ピーター・ディンクレイジ/エル・ファニング/
           ポール・ジアマッティ/シャルロット・ゲンズブール
  2018年製作/99分/米映/DVDレンタル
  <★★★>

〈映画.com解説から〉・・・人類が死に絶えた地球にひとり残ったデルは、誰
もいなくなった町で死体を弔い、空き家を整理しながら、小さな自分だけの楽
園を築いて生活していた。もともとひとりでいることが好きだったデルだった
が、そこへもうひとりの生存者で風変わりな少女グレースが現れ……

 

人類が(なぜだか説明はないが)死に絶えた世界、まあアメリカの小さい新興
住宅の田舎町なんだが、生き残った‘こびと’のデルが自分だけの城として、町
で一人の生活を謳歌している。謳歌はオーバーだけどね。図書館員としての仕
事をしつつ、亡くなって干からびてしまっている住民を、片っ端から順に淡々
と町はずれの墓地へ弔い続けている。まだ三分の一ぐらいだったか。処理が済
んだ家の前の道に白い×印を付けている。その地図の視覚効果がオモロイ!
いたってひとりでいることが好きな‘こびと’。
そこへ、風変わりな娘グレースが奇妙な感じで現れる。ま、ご両人とも十分に
風変り。この娘とのコミュニケーションが前半の山・・・ でもこの先の展開
は書くわけにはいかない。
なんて書いたが、出演者のところにビッグネームが二つ載っかってる。ここで
いうのもなんですが、たいして出番があるわけではない。もっとも意味がなん
ともヘンテコリン・・・、ま、タイトル(邦題)だってけっこうヘンテコリン。

ありがちなSFのシチュエイションなんだけれど、説明がほとんどない。展開は
あるものの、ならば理解が進むかというと、そうでもない。
でも進まないからといって、この映画がつまらなくなっていくかというと、そ
うでもなくて、押しつけがましくなく、不思議とわからなにままのシチュエイ
ションの連続が面白いような気がしないでもないのです。

 

モテモテのエル・ファニングより、「ゲーム・オブ・スローンズ」で受けたこ
びと俳優ピーター・ディンクレイジの暗い表情が、この映画全体を覆っている。
こびとである必然性はないかもしれないけれど、こびとであることで生じたシ
チュエイションは、この映画の見どころになってしまったと言っていいと思い
ます。最初っから目論まれたことかもしれませんね。観るほうからすれば確実
にキャスティングの妙です。

 

ゲーム・オブ・スローンズ」の最終シーズンを、わけあってまだ観ていませ
ん。観られる見込みうす。けっこう気になってはいるんですが・・・




バラダ/ゲルニカ

20191217(了)
バラダ  Leonardo Balada (1933-)ゲルニカ

ゲルニカ            1966    11:21
サラサーテへのオマージュ    1975   7:38
カザルスへのオマージュ     1975    11:47
交響曲 第4番『ローザンヌ    1992    18:34
サパタ;管弦楽のための映像    1988    20:04
  ⑤WALTZ 6:28  ⑥MARCH 5:25  ⑦ELEGY 3:23 
  ⑧WEDDING DANCE 4:48

  サルヴァドール・マス・コンデ指揮/バルセロナ交響楽団&カタルーニャ管弦楽団
  録音:2003年5月、バルセロナ、スペイン Tot.69:25
  CD/2004年/現代音楽・管弦楽/Ⓟ&ⓒ Naxos//中古
  ①②<★★★△> ③<★★★☆> ④-⑧<★★★>

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(CD帯紹介文) 当シリーズで既に御馴染みのバラダ、当盤には同国スペ
インの偉大な芸術上の先達である、3人のパブロの関連した作品が集まっ
ています。「ゲルニカ」はもちろんピカソ反戦的作品として名高い名作
で、本曲はヴェトナム戦争への抗議の意が込められたものです。聴いて特
に楽しいのは「サラサーテをたたえて」で、この大ヴァイオリニストの名
作「サパテアード」が自由に変容させられており、独特の和声、対位法感
覚が大変に面白く、ポルタメントの効果的な用法も印象的です。「サパタ」
も自在な引用が目立ち、特に「メキシカン・ハット・ダンス」によるお祭
り騒ぎとなっている「結婚式の踊り」は、楽しさの極みです。

 

スペインものです。
随分前から、聴いてみたい作曲家だった。だからもちろん名は知っていま
した。聴くのは今回が初めて。代表作ではないかもしれないけれど、、、

安直な表現ですが、現代音楽的な手法やサウンドを、なんともやすやす
と用いるすべを心得ており、その前の古い手法によるものと交互に出し入
れするというようなつくりの曲がここには多い。
帯の表にはこうあったのでした・・・
 さすが個性派、縦横無尽な引用・変容が面白い!
一応ズバリです。

ゲルニカピカソがスペイン内乱のさなかに描いた反戦作品なんだけれ
ど、バラダはこれをベトナム戦争反戦を意識して書いたという構図なん
だね。ジャケット写真に当たるものがこれだからなぁ、どうしてもピカソ
の絵のことのほうに関心が向いてしまう。
それがね、確かに現代音楽なんだが、ベトナム戦争に対するものという感
じじゃない。スペイン内乱に対するものみたいな感じなのです。表現もテ
ンポも。でも、現代音楽っぽさは②よりはある。音は好きですね。

② ひたすらスペインの三拍子系の踊りのリズムが刻まれ続ける。その上に
ヴァイオリンソロが乗っかっている。「チゴイネルワイゼン」はありませ
んが、他の引用はやっているのかもしれません。ワタシはわかりません。
三拍子そのものからは、ラロがサラサーテに捧げた「スペイン交響曲」の
最終楽章を連想しました。
かなりのハイテンポで、なんというかふわふわ浮きつつも、とにかく不安
を煽る調子。どういうわけでこんな不安感なんだ?
徐々に盛り上がり、終わり損ねたみたいに投げ出された感じで切れる。
一聴面白いのは確かだけれど、ラヴェルの有名な「ボレロ」と同じで、繰
り返して聴きたくはない。(サラサーテがパブロとは知らなかった)

③大パブロ、3つ目。いかにも現代音楽ですという始まり。②の不安感にさ
らにおどろおどろしい調子も加わる。ワタシはサラサーテよりぐっと力が
入っちゃった。
でも、現代音楽っぽいものとそうでないものがテレコテレコになっていて、
そうでないものの輪郭が少しづつわかるような気がしてくる。しばらくす
ると分かった。なんてことはない、「鳥の歌」。
ズバリ「鳥の歌」が臆面もなく出てきたかと思ったら、静かになり幽霊に
でも遭遇したような調子へ。おしまいはまた「鳥の歌」になるのかと思っ
たら、なりかけてフッと終ってしまう。
「鳥の歌」は決して好きではないのですが、面白かったです。

④単一楽章の交響曲。このアルバム5曲の中では最も新しい。
副題の「ローザンヌ」の意味は分かりません。近ごろはバレエのコンクー
ルで日本人が入賞するんで、けっこう知られているスイスの町のことでし
ょうか。
静かだが緊張感はある。尖った感じはない。
中間部ではワルツが支配的になる・・・当然現代音楽っぽくなくなる。そ
れが変容してゆき、②の「サラサーテ」に似た感じにも近づく。
いつの間にか2拍子になり、ずーとクレッシェンドしてゆく。後半は何度聴
れいても少し単調ですね。

⑤‐⑧はすべて引用でできているといった感じ。
このアルバムだけのことかもしれないけれど、決して暗くならない音楽が、
この作曲家の特徴の一つかもしれない。
この最後の曲は特に明るく、最後などバカ騒ぎ。時に不協和音が新しさを
喚起はするものの、勿論新しいものじゃない。バカ騒ぎについては、アル
ゼンチンのヒナステラのいわば“暗い爆発”じゃないし、メキシコのレブエル
タスやチャベスのような、なんとなくあぶら汗を感じるようなもの、でも
ないですね。

はい、だらだら書きました。納得できていない証拠のようなものです。
楽しめたのは、①②③、.特に③かなぁ・・・
この作曲家、もう少し聴かなきゃね。このだらだらはイケナイ。

 

 これで本年のアップは打ち止めです。
 年賀状は結局作って、投函済み。
 コミセンのパート仕事は1月5日から。
 大掃除、犬の臭いが染みついた絨毯洗い、年末始使用の買い物・・・
 息子娘孫たちが来る日程がようやくきまりました・・・

 まあそのための買い物・・・

 

 ヤフーのブログから移ってきて5ヵ月弱。
 なんとなく使いにくいですが、使い方をちゃんとマスターしていない
 だけのことです。
 来年もよろしく。

映画『ギルティ』

20191215(了)
映画『ギルティ』  THE GUILTY/Den skyldige

  監督;グスタフ・モーラー//ヤコブ・ゼーダーグレン
  2018年/デンマーク映/88分/DVDレンタル
  <★★★★>

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舞台はコペンハーゲン
ミスをやらかして今は緊急電話を受けている(≒干されている)警察官。
ミスに関する最終の審問のようなものを翌日に控えている。
小さな事件を二つ三つと受け、その間に審問会で発言してくれることに
なっている元同僚とのやり取りが挟まるが、その中身が妙に臭う。
そんな中、誘拐されたように聞こえる女の電話。拉致したがわらしい男
の声が少し聞こえる。その警官は機転を利かせ、女が娘さんと話してい
るふうを装って懸命に対応する、、、
緊急電話を受ける部署や係員数人が映るぐらいで、基本的にはその警察
官の受ける電話内容と彼の対応があるだけ。

対応するうちに徐々に様相が変わって来る。この警官のもともとの鬱屈
が絡んで味付けになっているが、とにかく救出のためのやり取りの緊迫
感が素晴らしい。
それこそが主眼の映画ですね。88分はこの場合はいい長さ。
雰囲気がなんとなく米英のものとは違う感じなのも新鮮。
言葉はデンマーク語。ドイツのお隣だからでしょう、オランダ語同様、
ドイツ語と非常によく似た単語がポンポン出てくるのが、雰囲気に寄与
している(!?)ようです、ワタシだけかもしれないけど。
この警官の前にはほとんどどのシーンにもネットの繋がったパソコンが
あって、携帯のGPSでだろう、位置情報として地図がしょっちゅう映る。
コペンハーゲンの街をピンク色の丸いマークがじりじり移動する・・・

ミステリーなので、上記ぐらいしか書けないのですが、話は実はがらっ
と変わります。最初に書いたこの警察官自身のミスも、この事件解決の
ための喋りの中に使うことになって、明らかになる。なかなかうまい作
りだと思いました。

フォーン・ブース』という電話ボックスから離れられなくなる男のな

かなかオモロイ映画、ちょっと思い出しました。

 

ここは島が連なった都会でもってバルト海の入り口にあるんだから、潮
汐によって海が猛烈にザーザー流れるのがいろんなところから見られる

んじゃないかと想像します。知りませんが、もしそうなら、ちらっとだ

けでいいから見てみたい・・・一歩も戸外に出ない映画なのだから、ま、

想像するぐらいいいでしょ?